小学校がお休みになって1か月、共働きの我が家の息子は、学童保育に通っている。週に5日。毎日お弁当を持参。
普段の食事はたいてい僕が担当するのだけれど、子どものお弁当は奥さんがつくっている。僕がやろうとすると、やんわりと断られる。
なんでだろうと思って訊いてみると、以前に僕がつくったお弁当を見て、これはダメだと思ったらしい。

「学校でお弁当食べるとき、隠して食べてる子っていなかった?」
奥さんはそんなふうに言った。
「茶色一色のお弁当で、人に見られたくないと思ったりするとかわいそうやし」
キャラ弁まではつくれないけれど、お弁当の蓋を開けるときに、今日はなにが入っているんだろうってワクワクする、そんな楽しみも持たせたいらしい。

ちなみに、僕が自分用につくる弁当は、冷凍食品の唐揚げをころころと、麺汁にとろろ昆布をひとつまみ、ランチジャーに放り込んだだけのもの。畑に出るようになってからずっと同じメニューだけれど、いつも美味しいなと思って食べている。
さすがに子どものお弁当はもう少していねいだったけれど、楽しさを詰めるなんて、考えたこともなかった。

よし、それならということで、息子に尋ねてみた。
「明日、お父さんがお弁当つくるけれど、いい?」
「それならカレーがいい」
茶色い……。

●ケンゾー