昨年の夏、大工仕事で訪れた滋賀県の今津町のお宅には、竈(かまど)が残されていました。
先輩たちはそれを見て、
「ああ、昔、おばあが竃でしょうゆごはんを炊いてた。あれはうまかった」
「しょうゆごはん、人が集まるときに用意してな。漬物と」
「酒のあてにも 良いしな」
なんだかすごく盛り上がっていました。
しょうゆごはん? 馴染みのない言葉に、どんなごはんだろうと思っていたのですが、よくよく聞いていると、炊き込みごはんのことでした。

私の地元では、炊き込みごはんをいろごはんと呼んでいます。地域によっていろいろな呼び方があるのかな。
いろごはんと卵焼きとお味噌汁は、農繁期の定番メニューでした。作りおきできるとか、さっと食べられるという理由があったのかもしれません。幼い頃、お釜の底でお醤油がおこげになったところが好きで、おこげちょうだいと母におねだりしていました。
今もいろごはんは大好きです。おかずがなくても、いろごはんがあるだけで満足。
忙しい日のお弁当には、いろごはんのおにぎりに助けられています。
なにを入れるのかを考えるのも楽しいし、いつもは真っ白なごはんがほんのり色づいて、小さな色とりどりの具材があちこちに散らばって見た目も素敵。

「しょうゆごはん炊いたし、持って帰ってな」
いろいろなところで、そんなふうに手渡されたことが何度もあります。
どれもすごく美味しくて、そして温かい味がしました。

●ますお

※友人が教えてくれたココナッツミルクしらすごはん、インドネシアのいろごはん──真っ白ですけど──ですね。食べたくなってつくってみました。ココナッツミルクご飯(nasi uduk)としらすご飯(nasi liwet)、2つのレシピをあわせた友人(インドネシア人)のオリジナルレシピです。
水とココナッツミルク1:1の分量で通常の水加減でお米を炊きます。この時、レモングラスも一緒に入れて。しらすは少量の油で軽く揚げます。炊き上がったごはんに揚げたしらすを加え、少し蒸らしたら完成です。意外にも和食との相性もいい、 美味しいです~。