ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトの兄弟は、1903年12月17日にノースカロライナ州キティホーク近郊で、世界初の有人動力飛行に成功した(※諸説あります)。それから66年後、1969年に人類は月面に降り立った。
テクノロジーの進歩というと、いつもこの話を思い出す。
液晶が折りたためるスマホのニュースを見たときも、そんなふうだった。ああ、すごい時代になったもんだなあ。
次々に新しいものが出てくるテクノロジーについて行くのは大変、そう思いながらも触ってみたくてしかたがない。たぶん好きなんですね。

スマホは僕も使っている。仕事のときはたいてい外に出ているので、電話やメールのやりとりをするのに欠かせない。でも、畑仕事の現場ではいろいろと面倒なことがある。急に雨が降ってくることもあるし、動き廻るので、スマホはかなりしっかりとポケットに入れている、そのぶん、なにか機械を使っていたりすると着信音は聞こえないしバイブレーションもわからなかったりする。
着信に気づいても、ポケットから取り出して、手袋を外してるうちに切れてしまう。うまく間に合って、ディスプレイにタッチしても反応してくれなかったり、あああぁ、もぅ!──落ち着いてかけ直せばよいだけのことなんだけど。

スマホが反応しないことについてネットで調べると、手の乾燥が原因という記事を見つけた。あとは、歳をとると体の電気量が下がってタッチパネルがいうことをきかないとか。
どちらもマユツバっぽいなあと思いながら、長年使っている低周波マッサージ機を使いながら──つまり体に電気を流しながら──スマホを触ってみた。
結果、スマホは普通に反応したけれど、体がピクピクして、めちゃ使いにくい。道具はスマートなのに、使う人間はスマートじゃない。
これは駄目だなと思って、隣にいた奥さんに訊いた。
「ねえ、ハンドクリームどこに置いてある?」
とりあえず手のお手入れからか。

●ケンゾー