畑にひとりで出ているときは、音楽を聴きながら作業をすることがある。
段取りを組むような、アタマを使うときは、歌がなくて、ゆっくりとしたテンポの静かな曲を。
あとは体を動かすだけというときは、作業のリズムに合うもの、パワフルな歌のもの、身体がじっとしていられないような曲がいい。

たとえば草刈りで刈り払い機を使うときはメタル系。ディープ・パープルの「ハイウェイスター」とか、めちゃくちゃいい。
刈り払い機のエンジン音、回転する刃の金属音、バチバチッと草を刈る音、リッチー・ブラックモアのギター、どんぴしゃって感じでハマる。イアン・ギランがシャウトするところでは、まわりに誰もいないことを確認して、一緒にシャウトしている。ア〜マ〜ハイウェイスタ〜♪ 畑なのに〜。
ハルナ(陽光・やまのあいだファームの管理機)を動かすときは、なんといっても「赤いトラクター」。
燃える男のってやつですね。気分は完全にマイトガイ、元気が湧いてくる。
「熱き心に」もいい。「昔の名前で出ています」は……。

そういえば、大工をしていた頃、親方がよく布袋寅泰をラジカセで流しながら、ベビベビベービと玄能を振っていた。
それに合わせて僕はギコギコギーコとノコギリを引いた。
歌が誕生するしくみのなかには、労働歌というものがあって、大勢の動きのリズムを揃えたり、士気を高めたりする役割を果たしていた。
そういうわけで、美輪明宏さんの作詞・作曲の「ヨイトマケの唄」
エンヤコ〜ラ♪ と鍬を譜っているうちに、涙が出てきて仕事にならなかった。
選曲もそうだけど、歳ですね。

●ケンゾー

※あ、一応、ヘッドホンは片耳だけにしています。まわりの音がまるで聞こえないのはかなり危ないので