やまのあいだファームへは、京都市内から原付バイクで通っています。
国道9号線、老ノ坂峠を登ってトンネルをくぐり抜けると、目の前は真っ白。顔に感じる風の冷たさも一段と厳しくなります。
白い、白い、白い、寒いよ、寒いよ、寒いよ、と涙声を出しながらやまあいに到着。寒さでカチコチになった体はしばらくは思うように動きません。
でも、お昼になると、すっきりと霧もはれて、汗ばむくらいの陽気に。
陽射し、暑いなぁと思いながら──朝は寒さで泣いていたのに──今年の夏野菜、ささげのことを思い出していました。
やまのあいだファームではいろいろなお野菜を育てていて、いつも目にして、触れているのだけれど、
わたしがあまりお世話をしていないお野菜もあります。
そのなかで、種蒔きから種採りまで、今年いちばん近くでお付き合いしたのがささげです。

春のころ──。
種蒔きでは、あかねちゃんのおかげで無事に発芽。ポットで育てているあいだは、乾燥に気をつけて水やりをする日々。
そして畑に定植。わたしがいちばん好きな草マルチの作業、ささげを囲うように刈った草を敷いていきます。
テントウムシが飛んできました。それもたくさん。
今年はテントウムシ、多いなあとあかねちゃんもつぶやいていました。

夏に──。
ささげの収穫がはじまって、驚いたのは虫食いの少なさ。
1年前は、「虫が食べた穴が……ああ、これも出荷できない」と、たくさんため息をつきました。
でも、今年は畑の場所の関係なのか、なんだかとてもいい状態。
台風の影響で、擦れや傷がつくこともあったけれど、たくさん実ってくれました。収穫しながら、よかったーとほっとする夏でした。

秋──。
厳しい暑さが通り過ぎて、10月に入って種採りがはじまりました。
これだ! という莢のものを選び、ゴザの上に並べて乾燥させます。そして、莢から種(豆)を取り出します。かたちのおかしなもの、カビているものは取り除きます。
ひと粒、ひと粒、手に取りながら、美味しそうって思ってしまって……。
わたしの育った家では、お赤飯のときにはささげを使っていました。やまあいのささげは莢ごと食べられるので、炒めものにしたりスープに入れたり……ああ、もう食べたい。
来年も種を蒔きます。

●ますお