雨のち曇り──。
畦を歩いているときによろけて、畑に降りたら、足がずぶずぶと土に埋まってしまいました。
土って、耕すとこんなにもふかふかするのだなぁ……そんなことを感じながら、泥だらけになった足を見つめました。
「すごい粘り気のある土があるねん。焼き物とかできるかな?」
あかねちゃんから相談されて、土の採集に行きました。
焼き物に使う土には、ふたつの性質が求められると聞いたことがあります。
ひとつは可塑性。土に水をくわえて練ると粘りがでます。その土を握ると、握ったかたちになる。そのままのかたちがキープできたら、その土は可塑性があるといえます──難しくいうと、力をくわえて変形させ、その力をなくしてももとに戻らない性質。
もうひとつは耐火性。焼き物づくりでは、焼成という工程があります。つくる焼き物にもよりますが、700〜1300℃くらいの温度で焼くことになるので、それでも割れない性質が必要です。

縄文時代の遺跡から出土した、植物でつくられた籠の復元作業をしている人から聞いた話。
「土器を見ていると、籠を作ろうとしていたんじゃないかと思うときがあります」
縄文土器に施された凸凹の文様も、植物で編まれた籠に似せたいという思いの痕跡なのかもしれません
プラスチックの製品を見ていても同じようなことを感じます。
もともとは竹や樹皮、蔓などでつくられていた道具は、ほとんどプラスチック製のものになってしまったけれど、かつての名残りが模様や色などに見てとれます。
縄文人も現代人も、同じようなことをしているんだなと思うと、なにかおもしろい。
あかねちゃんの見つけた土は、可塑性たっぷりの粘土でした(まだ焼いていないので、耐火性の方はわかりません)。
一緒に器をつくりながら見ていると、あかねちゃんは葉っぱの葉脈を押し当てて模様をつけていました。
●ますお