2013年の秋にはじまったやまのあいだファーム、去年になってやっと土のなかにコガネムシの幼虫が住めるだけの隙間ができてきました。
5年──。はじめの数年間は、虫が見向きもしないほどのガチガチの粘土質の土で、乾いているときは灰色の岩と勘違いされるほどでした。
関西の圃場(ほじょう・農産物を育てる場所のこと)には粘土質のところが多いようです。やまあいがあるのも京都の亀岡盆地の田園地帯。米づくりには良い環境ですが、野菜を育てようとするなら、もっと水はけや通気性のよい土に変えていかなければなりません。
人が手を入れれば(※1)簡単にできることを、自然のスピードでなんとかしようというのは、たいへん気の遠くなる話です。
ゆっくりと生態系をつくっていく農業なのだとわかってはいても、結果が出ないとあせって空回りする。なにがしたいねーん? と自分に言いたくなったり。


不耕起栽培の畑で、やっていけるのか?
農業をはじめたいという人たちのなかには、不耕起栽培に興味を持たれる方が多くいらっしゃいます。関西にもたくさんいます。
経験も浅く、不器用な私に結論は出せませんが、やまのあいだファームだけでは今のところ、計るものさしをお金にするとちょっとしんどい。


いろんな挑戦をすることも、やまのあいだファームの役割のひとつ。
一昨年から瀬戸内の柑橘畑との二拠点農業をはじめたのにつづき、今度、一部分を耕してみようと考えています。
有機栽培だと、今より相当にたくさんのお野菜が育てられる。
ちょうど新しく借りた畑が、これまでの方法ではまったく野菜が育たずに困っていたので、前向きに挑戦してみることにしました。不耕起の畑もつづけて、それぞれの経過を見ていこうと思います。どちらの育て方も活きるかたちになってくれたらいいな。

●あかね

※1 人が手をいれてやれば/耕す、空気や水が通りやすくなるようなものを混ぜる、肥料を入れるなどの土づくりの作業のこと。やまのあいだファームは耕さないので、土づくりの作業を草花の根や、虫や菌にお願いしています。