広報 松田 真弓

8月の農家さん訪問第二弾!和歌山県岩出市の「ファームゆうき」さんにお邪魔しました。岩出市は和歌山市の東隣にあり、北は大阪府と隣接しています。街のなかに田畑なのか、田畑のなかに街なのかの判断がつかないくらい、住と農が溶け合った場所でした。

奈良の大台ケ原を水源とする「紀(き)の川」が市内をゆうゆうと流れていきます。その流れに沿って、山から海に向かいラッパ状に広がる紀ノ川平野にファームゆうきさんの畑がありました。

真ん中の赤い葉っぱの列は赤紫蘇。その手前のピンピンと跳ねているような葉は、ウコン(ターメリック)。そのほか、オクラ、ナス、ピーマンなど夏野菜たちが元気に葉を伸ばす畑の上を、こんもりとした夏雲が通り過ぎていきます。

「もともとここは、はっさく畑やったんよ」

と教えてくださったのは、ファームゆうきの片岡かおりさん(はっさくは、隣市の紀の川市が生産量日本一)。柑橘も野菜も、栽培には水はけの良さが大事ですが、このあたりは山手から紀の川に向かって緩やかに傾斜しています。雨が降っても川に向かって水が流れていくので、適しているそう。

片岡さんは、和歌山市のご出身で、社会人になるときに選んだ仕事は、なんと乗馬クラブのスタッフ(!)だったそう。

動物はみんな好きだけれど、子供のころから馬が一番好き。見るのも触れるのも、絵を描くのも好き。8年の間、障害者乗馬の仕事を通して、いろんなことを学んだそうです。

辞めた今も乗馬のインストラクターの資格更新し続けてるんですよ
馬のお話をされているときは特別な笑顔! 「馬愛」が伝わってきます。

乗馬クラブの仕事をしながら、あるとき体調を崩してしまった片岡さん。また、双子の弟さんには障がいがあり、ずっと食が細いのだそう。何を食べるかは、生きるうえでとても大事なこと。少ししか食べられないのならいいものを食べさせてあげたいし、自分自身もいいものを口に入れたい。「食に関わる仕事に就いたほうがいいんじゃないか……」と思った片岡さんは、農業の道へ踏み出すことになりました。

北海道の大規模農場で修行し、和歌山に戻って菊の苗を育てる仕事に就き、その後、縁あって有機野菜を扱う会社の農場スタッフに。そこで7年間、有機栽培の技術を磨いたのち独立され、現在3年が経過したそうです。

ファームゆうきさんは、もともと片岡さんの旦那さまがはじめた畑なのだそうです。旦那さまは現在、会社勤め(スーパーの生鮮売り場)をしながら休日に畑仕事をされていますが、これからは退職して一緒に畑をやっていかれるとのこと。

旦那さまの存在に「本当に救われています」片岡さんはしみじみと、感慨深く話してくださいました。とても温かい方だそうで、弟さんの障がいのことも、気にしないのではなく、ちゃんと気を遣ってくれる。体を思い、家族を思う温かい方々が、この畑を作ってきのだな、とじんわり感じました。最近、和歌山市内に新たに畑を購入することになり、これから旦那さまと一緒に、新たなファームゆうきさんがはじまります。

育てているのは、オクラ、ピーマン、ウコン、大豆、とうもろこし、なす、赤じそ、玉ねぎ、とうもろこし、ハーブ類(スペアミント、キャンディミント、パセリ、イタリアンパセリ、ディル、チャービル、レモンバーム、レモングラス、レモンバーベナ、オレガノ、タイム、ステビア、マロウ)など。多品種の野菜とハーブ。

ハウスの中で大事に育てられるハーブ、青しそ、オカワカメ、スイスチャードなど。昔負った怪我で、重いものが持てない片岡さんにとって、ハーブ栽培はとても合っているそう。今は「食べられる野草」という本にハマっていて、「私は一体、どこに向かってるんやろう」と、片岡さん(笑)

「ヨモギ茶は体を温めてくれるので女性にはとくにオススメ。あと、ミントと赤紫蘇のお茶が美味しいよ」と教えていただきました。早速、家でやってみようと思います!

(余談…)ちなみに大阪府高槻市の「らぁ麺屋 はりねずみ」さん(ラーメン激戦区の有名店)の味噌ラーメンのトッピングに、ファームゆうきさんのイタリアンパセリが使われているそう。美味しそう、食べたい!

体に良いだけではなくて「おいしいを追求したら有機だった」となるような野菜作りをこれからもしていきたいと話してくださいました。加工品にも挑戦していて、乾燥野菜をはじめ、新たにエン麦のストローも作ってみたとのこと。米シアトルで使い捨てプラスチック製ストローの使用が禁止されたことが話題になりましたが、麦のストローは趣があっておしゃれ。しっかりしていて、普通にストローとして吸えます。

新生ファームゆうきさんから届くお野菜や加工品、これからも楽しみです。

風に揺れるオカワカメ(別名:ヌルッパ/雲南百薬。ツルムラサキ科アカザカズラ属)。ワカメのように粘り気がありつつシャキシャキ食感で、坂ノ途中のスタッフにも人気の野菜。つるが赤いことを初めて知りました!

 

 

▽旬の野菜が届く、坂ノ途中の「定期宅配」はこちらから。