今年の夏、遠くて長い長い旅に出ました。
私がどこからやって来たのか、その道のりを辿る旅です。


ヒト(ホモサピエンス)の起源は、およそ20万年前のアフリカとされています※。
私のご先祖さんは、どこをどう歩んでアフリカから日本にたどり着いたんだろう。
ミトコンドリアDNAを調べることで、そのルートが解明できるかもしれないと聞き、検査をお願いしてみました。細胞内にあるミトコンドリアは、母系を伝わって受け継がれるため、母の系譜を辿ることができます。
検査の結果、私のご先祖さんはシベリアが起源だそうです。マンモスの狩りをしていたかもしれない。
アフリカを起点に、中東、ユーラシア北部へ進み、日本にやって来た。途中までともに旅をした人たちのなかには、日本に渡らず、アラスカ、南米へと足を伸ばした者たちもいた。私の遠い遠い血縁には、ネイティブアメリカンの人たちもいる。まるで想像したことのない話を聞かされて、とても驚きました。
古くに日本に移り、縄文人となったご先祖さん。タイムマシンがあったら、その時代、その場所を訪れてみたいです。

私の母系のルーツは北にある。
そのことと関係があるのかないのか、父は北海道が大好きです。
そして祖父が好きなのが、ひょうたん。
人類が世界中に拡散したことに縁の深い植物なのだそうです。軽くて丈夫で、水を運ぶには最適の器だったんだろうな。
アフリカ原産のウリ科の植物、縄文時代のはじまりの頃には日本に伝わり、最古の栽培植物ともいわれているそうです。真ん中がくびれた形のものがよく知られていますが、丸いもの、細長いもの、長さ2cmほどのものもあれば、3mを超えるものもある。最小と最大の果実の容積比は4万倍、同一種でこれほど大きさの違う果実はほかにはありません。

土の器、草の器、ひょうたんの器……むかしむかしの日本にはいろいろな器がありました。私のご先祖さんもたぶん使っていたのでしょう。
祖父はひょうたんを育て、家に飾り、人に贈ったりもしていました。
私も育ててみようかな。
いつか、ひょうたんを手に旅に出たい。

●ますお

やまのあいだファームのこの頃
秋の雰囲気をすぐそばに感じています。
耕さない畑では、のらぼう菜の種まきがはじまりました。春、たくさんの菜の花に囲まれたいです──野菜がめぐるコンポスト・坂ノ途中のおすそわけにも入っていたはず。
耕す畑では、オクラの背がのっぽすぎて収穫が大変です。腕を目一杯伸ばしても届かないから、茎の部分をぐいっと曲げて引き寄せ、収穫しています。オクラの葉がつくってくれる日陰の下にいるときは、ちょっと涼しくて嬉しいです。

※諸説あります