手袋をしない。
最近、試していることのひとつです。
畑仕事でも、大工仕事でも、手袋にはずいぶんお世話になっています。
でも、手袋をしている感覚に慣れることが気になってきました。

ランニングが趣味という人から聞いた話があります。
ベアフットで走るっていう考え方があるんだ。
アマチュアのランナーは、着地の衝撃を柔らげるためにクッション性の高い靴を履くことを薦められるけど、それはときには膝を痛めることになる、みたいな話。実際のところはどうなのかわからないけど。
たまに裸足で走ってみたらいいよ。足の裏の感覚がどれくらい誤魔化されているのかよくわかる。芝生か砂浜じゃないと無理かもしれないけれど。
大工仕事のときに尋ねてみました。
「いつから手袋するようになったんやろ?」
「働きはじめたころは手袋は使わなかったな。使うなと言われたような……」
「掴んだり、握ったりを加減するのは、素手の方がええんとちゃうか?」
大工歴50年の先輩方はそう話してくれました。
はじめてのやまあいでの仕事は、種を蒔くための準備でした。
土を手のひらで摺り合わせてほぐす。ほろほろっとした土になるように、手のひらの感覚に集中します。
力を入れすぎたり、失敗を繰り返して、少しずつ案配がわかってくる。
そのとき、なんともいえない嬉しさがありました。
感覚に気持ちをむける、わかってくる、すごく楽しい。
私の手、右手の小指、人差し指、中指にはいつもマメがあります。かたい。
いつか祖父の手のようになれるかな。
●ますお
おまけ/このあいだの朝、あかねちゃんの親指に絆創膏が巻かれていました。そして、その絆創膏からは1センチほどの長さの黒くて薄いなにかが。
「指、どうしたん!!」
「鎌で思いっきり切ってん。これ? ヨモギ。傷口に挟んでおくとめっちゃいいねん」
「ヨモギ! へえ」
※写真の左側は祖父の手です。畑仕事から帰ってきた祖父の手には、いつも小さな傷。絆創膏を貼ってくれと頼まれることもありました。祖父はどんなときも手袋は使いませんでした。