vol.12

連載「ごはんがすすむ! 旬やさいの献立」。これまで1年間、『白ごはん.com』のレシピを参考に、旬のお野菜を使い、お米を美味しく食べられる献立をつくってきました。
最終回は、これまでを振り返り、日々の暮らしのなかの献立づくりについて考えてみたいと思います。

身も心も満たされる、家のごはん

家で食べる手づくりのごはんはとくべつ。口にすると、身体がよろこんでいるような気がして、心もほっとします。忙しい日は、手の込んだものでなくても、ごはん、味噌汁、漬物、これだけでも十分、満ち足りた食事になります。味噌汁や漬物の具材は、旬のものを。それに美味しいお米があれば言うことなしです。

けれど、もっとごはんがすすむ、お野菜たっぷりの献立を取り入れたい。この連載では、簡単なものから手の込んだものまで、いろいろなお料理をつくってきました(食べることが大好きなわたしたちにとっては、毎回の撮影がとても楽しみでした)。連載は今回で終わりになりますが、ごはん中心の献立づくりは、家でもできるだけつづけていきたいなあと思います。

白ごはん.comのレシピでは、具材の切り方や火の通し方など、詳しいところまでしっかり教えてくれるので、失敗が少なく、ひときわ美味しい仕上がりに。気持ちにゆとりがないときも、丁寧につくることを心がけられたらなあと思いました。

10月の献立より。とてもシンプルなのに、今まで食べた豚汁のなかで一番だった、春菊の豚汁

きょうの献立、何にしよう

わたしは、旬のお野菜セットを隔週でとっています。お野菜がたっぷりあると、お料理のことを考えるのがもっと楽しくなって、張り切ってしまいます。
この連載では、季節をめぐり、全9回の献立をつくってきました。
そのなかで、献立を考えるときのコツとして分かったことがふたつあります。

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献立づくりのコツ 1|きょう食べたいものをひとつ決める

9月の献立より。万願寺とうがらしの季節につくると決めていた、混ぜごはん

ひとつめは、その日の気分に合わせて、食べたいものをひとつ決めること。食材でも、お料理でも構いません。たとえば、ピーマン。たとえば、豚汁。ひとつ決めてしまえば、ほかに合わせるものを考えやすくなります。
この連載のはじめのインタビューで、冨田さんはこう仰っていました。
「僕の場合、献立は、まずおかずのひとつは今日食べたいもの。スーパーに行ったりキッチンに立ってこの野菜が食べたいなと思ったり、家族が食べたいなと言ったりしたものにします」
この言葉のとおり、あれが食べたい! という気持ちから考えるのが何より。連載でも、「万願寺とうがらしご飯が食べたい」とか「白菜の餃子が食べたい」とか、はじめに食べたいものをひとつ決めて、それを中心に味付けや調理法をずらしながら(*)、ほかのメニューを決めていきました。

*味付けや調理法を「どうずらすか」については、こちらで詳しくお話しています。合わせてチェックしてみてください。

 

献立づくりのコツ 2|主役を決めて、組み合わせを楽しむ

ふたつめは、献立の主役をつくること。そうすれば、あとは主役を引き立てるようにほかの組み合わせを考えられるので、献立づくりがスムーズです。また、主役になるお料理があれば、ほかは簡単なもので済ませられることもあり、全体の調理時間の短縮にもなるなと思いました。

主役のパターンは大きく分けて3つ。おかず、ごはん、汁ものです。
それぞれ、実際につくった献立をみていきます。

おかずが主役

8月の献立より。白ごはんがいくらでもおかわりできそうな、ゴーヤの味噌炒め

まずは、食べ応えのあるメインのおかずを主役にする献立。
餃子や春巻きなど、味がしっかりしているおかずを楽しみたいときは、副菜に箸休めになるようなさっぱりしたものや、あっさり軽めのものを合わせます。
夏野菜の盛り、8月の献立では、苦味たっぷりのゴーヤが食べたくて「ゴーヤの味噌炒め」をつくることに決めました。味噌炒めはしっかりこくがあり、ごはんがすすむ味付け。そこで、ほかのおかずはあっさりとしたものにし、白ごはんを炊くことにしました。

▼8月の献立|まだまだ食べたい、つやつやの夏野菜。
・白ごはん
・ゴーヤの味噌炒め
・オクラ納豆
・トマトサラダ
・もずくとモロヘイヤのスープ

 

ごはんが主役

6月の献立より。梅の酸味でさっぱり。枝豆とひじきの風味が感じられる、枝豆とひじきの梅ごはん

次に、混ぜごはんや炊き込みごはんなど、具材の入ったごはんを主役にする献立。
ごはんだけで味わいにも満足感があるので、野菜や魚など軽めのおかずを合わせます。
夏のはじまり、6月の献立では、「枝豆とひじきの梅ごはん」を炊きました。枝豆やひじき、梅の風味がたっぷりで、満足感のある食べ応え。メインのおかずはアジのたたきにして、味わいもボリュームもちょうどいい具合になりました。

▼6月の献立|夏のはじまり、緑の野菜をさっぱりと。
・枝豆とひじきの梅ごはん 
・アジのたたき 
・きゅうりと茗荷のオイル和え
・ズッキーニのみそ汁

 

汁ものが主役

1月の献立より。からだの芯から温まった、具だくさんの粕汁

最後に、具だくさんの汁ものを主役にする献立。手軽につくれて、旬のお野菜をたっぷりとれるのが嬉しいです。
冬本番、1月の献立では、ぽかぽか温まる「鮭と根菜の粕汁」をつくりました。鮭、ごぼう、大根、にんじん、しいたけ……と、ごろっと具だくさんにしたので、軽いお野菜のおかずを合わせ、玄米ごはんを炊きました。

▼1月の献立|冬の根菜ごろっと、からだの内から温まろう。
・玄米ごはん
・鮭と根菜の粕汁
・ヤーコンのポン酢ごま油漬け
・きくな(春菊)のごま和え

冨田ただすけさんよりメッセージ

――冨田さん、これまでの連載いかがだったでしょうか。日々のごはんづくりについて、お伺いできたらうれしいです。

うちに隔週で野菜を届けてくれている坂ノ途中さんが、白ごはん.comのレシピを活用した献立立案企画をやってくださることに。白ごはん.comのレシピのなかで、ひとつを作った投稿はSNSなどでもよく見させてもらうものの、献立全体っていうのは少ないので、どんなふうになるのか楽しみにしていました。
どの月の献立も、既視感と言っていいのかもしれないほどの“冨田家のごはんっぽさ”がありつつ、旬の野菜の使い方がきらりと光っていて、その野菜やそれを作っている方々への気持ちが感じられる料理だなぁと思いました。僕としても自分と好みの似た人の普段の食卓を見せてもらっているようで新鮮でしたし、読者の方にとっても組み合わせの参考としてうれしい企画だったのではないでしょうか。

この記事のなかで、「忙しい日は、手の込んだものでなくても、ごはん、味噌汁、漬物、これだけでも十分、満ち足りた食事に」と書かれていますが、ほんとうにその通りだと思います。手の込んだものをいつも作らねば……となるのはどうしても無理があるし、それくらいシンプルな献立でも、 いろんな意味で満たされる感覚を僕もいつも感じます。
家庭のごはん作りは、手間をかけることが正しいことでもなくて、家でごはんを作って食べて、誰かが(自分かもしれませんが)自分のために作ってくれたと感じること、それでほっとするってことが何より貴重なのだと思います。
作るぞって気分のときは手間をかけるのも楽しいでしょうし、そうじゃないときには、「お味噌汁だけ作ろう」とか、「目玉焼きくらい焼くか」くらいな手軽なものでも、なんとなく元気が出るというか、満足なんですよね。

坂ノ途中さんから届いたダンボールの中を見ると、家族が好きな料理がポンッと頭に浮かんで作るぞってなったり、さぁ美味しいうちに下ごしらえしようってなったりと、とにかく「料理しよう」って気持ちにさせてもらうことが多いです。
なかには僕も使い慣れない野菜が入っていることもあります。自分で買い物に行ったら気軽には手が出ない素材を(僕もレシピサイトをやっていると結局手に入りやすい野菜を扱うことが多いんです……)どうやって食べたら美味しいかな? って考えたり、想像力を働かせたりするのは、料理の上達にはとてもいいことだろうと思います。
人からいただいたりして偶然手にした食材とか、たくさん収穫してどうやって食べようとか、そんなふうにして、おいしくて生活に根付いた料理は生まれてきたのだと思うので、きっといい料理が作れる人になれるんじゃないでしょうか。

坂ノ途中さん、日々の食卓の中での白ごはん.comのレシピをおいしそうに、素敵に見せてくださり、ありがとうございました! 僕もこれからもっとおいしい野菜料理が作れるよう、努力していきたいと思います。

冨田ただすけさん/白ごはん.com
食品会社勤務や日本料理店での修業を経て2013年に料理研究家として独立。自身が運営するレシピサイトYoutubeチャンネルを通して、おうちで作りやすい和食レシピを届けている。

冨田さん、約1年間の連載企画、ほんとうにありがとうございました!
わたし自身、この企画を通して、ごはんづくりの楽しさや温かみをあらためて感じました。家のごはんには、美味しさや栄養だけでなく、心を満たすなにかがあることを実感しました。
これからも、白ごはん.comのレシピを時折参考にしながら、日々の食事を大切にしていきたいなと思います。

●武岡 萌

 

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