朝早く、ささげの収穫。
私を取り囲むように、リーンリーンと虫の音が響く。
遠くではミンミンミンとセミの声。
立秋を過ぎました。
ふたつの音に包まれて、夏と秋のあいだにいることを感じました。

大工仕事の日のこと。ノミと玄能を使っていると、親方が声をかけてくれました。
「良い音がしてる、良い良い」
良い音ってどういうこと?
親方が教えてくれた話ですが、昔は大工さんといえば釘を玄能で打っていたそうです──今は、あまり玄能は出番がありません。ほとんどの場合、エア釘打ち機(通称てっぽう)が使われます。
左手に釘、右手に玄能、口には次に打つ釘を何本もくわえる。そして一定のリズムで玄能を振る。口にくわえた釘がなくなると、新しい釘を用意する。
「でも、そのときも、打つのを止めへんのや」
打つ釘がないときも、同じリズムで玄能を振りつづけると冗談ぽく言っていました。

カラダの動きが音になる。
気がつくと、畑仕事をしていても、大工仕事をしていても、音を手がかりにしていました。
先輩たちがたてる音はきれいな音、リズム。どうカラダを動かせば同じ音が出るのか考える、やってみる。
やまのあいだファームでよく使う道具にスコップがあります。
ザッザッザッザザ……
あかねちゃんは気持ちのよい音を響かせています。
いつもと音が違うと、土が固いのかな、疲れてるのかな、なんて気になったり。
音が教えてくれることはたくさんあります。
まだまだ覚えることはいっぱい……今夜は大好きな音楽を聴こう。
●ますお
追伸/秋の音はきこえたけれど。陽が昇ると、まだまだじっとりと暑いです。
丸オクラの葉っぱの小影でカエルが涼んでいました。日陰って気持ちいいよね。