ソンというキューバ音楽を知っていますか?
1999年に製作された、ヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリー映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」では数々の名曲が演奏され、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。
ラテン音楽というとサルサが有名ですが、そのベースとなったのがソン。
僕が参加しているバンドでプレイしている音楽です。ちなみにパーカッション担当です。

青年海外協力隊員として、僕はドミニカ共和国に2年ほど滞在しましたが、海を隔ててすぐ近くのキューバに渡ることはありませんでした。
50年以上も昔の巨大なアメ車が走り回っていたり、街のあちこちで生バンドが演奏していたり、そんなニュース映像を見た覚えがあります。アメリカの長年の経済封鎖のせいで、物がない時代が長くつづき、僕のパーカッションの先生(キューバ人)は、砂糖水で飢えを凌いだと言っていました──日本に来たときはほっそりしていたらしいですが、僕が会ったときには丸々と太っていました──。

ソンは、ギター、トレスというギターに似た楽器(3弦で複弦になっている)、ベース、パーカッションという編成で演奏します(トランペットが入る場合もある)。大所帯のサルサにくらべてシンプルでアコースティックなサウンドです。
カリビアンミュージックはリズムの宝庫といわれますが、ソンのリズムも奥深いです。そして、なにより会話をするように叩くことが大切です。誰かの音に近寄っていくのか、僕の方に近づいてもらうのか。相性があるし、性格がすごく出る。

カリブの人たちはとてもよく喋ります。
ドミニカで暮らしていたときは、一人で過ごす時間というのはあまりありませんでした。現地の人たちは、一人きりというのは良くないことだと考えているらしく、毎日のように誰かの家に呼ばれたり、誰かがやってきたり。それで毎日のように停電がある。そうするとお喋りのほかにすることがないわけです。
寝るとき以外、一人でいることがない、そんなところで2年も過ごしたことで、日本に帰ってきたときには逆ホームシックになってしまいました。

外出自粛がつづき、ドミニカのことを思い出します。みんなどうしているだろう。
事態が落ち着き、バンド仲間と音を通して会話できる日を待ちながら、そのときが来たらドミニカの人たちを訊ねてみたいです。今度はキューバも忘れずに。
少し長い休暇が必要ですが……

●まつい

*やまのあいだファームだより
先週からナスの収穫がはじまりました。
小ぶりなナスもありますが、今はまだナスの木も小さく、木に負担をかけないために小さいものも収穫しています。これからどんどん大きくなって、収量も増えていくので、もう届いたよという方も、まだだよという方もどうぞお楽しみに。