このひと月で、部屋にいくつか瓶が並びました。
梅酒、梅シロップ、生姜シロップ。昨日の夜は、すもものシロップをはじめて仕込みました。
長い時間をかけてできあがる保存食。
普段の料理とはちょっと違って、味わうのは少し先の未来。
ガラス瓶にぎゅっと詰められた、採れたばかりの瑞々しい野菜や果実。見ていて飽きることがないです、とてもキラキラしてる。

すもものヘタをほじったり、汚れを拭きとったり、淡々とした作業のときは音楽かなにかがほしくなります。
しばらく悩んで、これまでにも何度も見ている映像作品「人間は何を食べてきたか」シリーズのなかの一話「一滴の血も生かすー肉ー」を選びました。
世界各地の食べ物と人間の関係を記録したドキュメンタリー。
映像に見入ってしまい、作業の手が止まってしまった……。

ドイツの農村では、それぞれの家で育てた豚から、家族が食べるためのソーセージなどの保存食を自分たちでつくるそうです(1970年代後半の頃の記録映像のようなので、今でもそうなのかどうかはわかりませんが)。
血も臓物もあますことなく、目玉と蹄を除いて、豚のカラダのすべて使ってつくられるソーセージ。
その徹底ぶりは、見ていて切実さが伝わってきます。
作物が育ちにくい土地で、肉は、ごちそうではなくギリギリ命をつなぐ食べ物。
けれども、その一方で、ソーセージの仕上がりに対するこだわり、種類の多さ、それぞれの家の味わいの違いなど、保存性だけを追求するのではない、楽しみや嬉しさも映し出されています。
わたしの生姜シロップでつくったジンジャエール。美味しい、そういって友人がたくさんおかわりをしてくれました。またつくります。
●ますお