やまのあいだファームでは軽トラ、大工のときはトラックやダンプカー、

はたらいているといろいろなクルマに乗ります。
どのクルマも人と物をたくさん運んでくれます。
「エンジンのついたるもんはカラダに毒や」
私の祖父はそんな考えの持ち主だと、父から聞かされたことがあります。
たしかにエンジンの付いた道具は一切──トラクターも刈り払い機も──使わず、
車輪のついた乗り物といえば自転車とリヤカーだけでした。
自転車の荷台に祖母を乗せて畑に行ったり、夏の夜にまだ小さかった私を乗せてホタルを見に連れて行ってくれたり。
リヤカーでは収穫したサツマイモを積んで運びました。ゆっくりとしか進まないけれど、引っ張ると重くて大きなものが動くのが、幼い私にはとても面白かったです。
「車」という漢字は、軸を中心に回転する輪という意味がありますね。成り立ちは、象形文字だそうです。
水車、糸車、風車、轆轤、挽臼……車にはとてもお世話になっています。数年前、車輪のありがたさを実感することがありました。土壁をつくるために、大量の土を運ぶ。ネコ車と呼ばれる一輪車に土を積んで運ぶのですが、そのときは車輪というものはほんとうにすごいものだなと思いました。ひとつの車輪の転がる力と、わたしの体を前に動かす力、とってもシンプルだけれど、ふたつの力が合わさると大きな力になる。もしも2本の腕だけしか使えなかったら、泣いていたかもしれません。

やまのあいだファームの近くには、田んぼに水を入れるための木製の水車があって、もうすぐ回りはじめます。水車は水車の仕事をしているのだけれど、どこか楽しそうに回る。これを見るのが毎年の楽しみです。

●ますお