ハマー(横浜美由紀)

漫画の中の印象的な食事シーンってありませんか?
グルメ漫画に出てくる食べものはもちろん美味しそうなのですが、そうではない漫画ほど、出てくる料理が印象に残っていたり。
私の場合は、「3月のライオン」の、唐揚げと温泉玉子をのせたカレー。完璧なとろけ具合の温玉、罪深いです……。
今回は、料理・食事シーンが印象的な漫画を3人のスタッフに紹介してもらいました。
編集のために借りて読んだら、もう止まらない!
あ、これもあくまで、仕事のうちですからね。

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中田拳太(出荷担当)『北北西に曇と往け/入江亜季』
荒野が広がるアイスランドが舞台。主人公は不思議な能力を持つ17歳の探偵。相棒の車に乗って、様々な事件を解決していく。
肉が大好きな彼が、祖父の知り合いのファミリーと一緒に羊を食べるシーン。
野菜や米が育たないような土地で、長い長い時間をかけてようやく育った野生のハーブや苔を食べた羊。
海風が乾いてアスファルトに残った塩を舐めに道路に出てくる。
アイスランドならではの環境が生んだとも言える羊の肉は、どの肉よりも美味しそうに見える。
普段はクールな主人公が、肉を前にすると緩んでしまうところも可愛らしい。

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井上若奈(出荷担当)

『ハクメイとミコチ』
身長わずか9cmの小人の女の子が主人公のこの作品。相対的に大きなスケールの自然の中で生活する2人のほっこりする日常が描かれています。
すべての話が好きなのですが、とくに4巻の、冬に汽車で旅行に行く話。いなり弁ときゅうりのサンドイッチと揚げ山芋。
ファンタジーなのに料理は現実的で味が想像出来てしまうのがずるい! 食べたくなってしまいます。
旅行の移動中の食事って何だかいいですよね、車内販売のお弁当とか隣の席の人が食べていると自分も気になってしまったり。
音や匂い、空気の温度まで感じられそうな丁寧な描写の漫画です。

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坪内崇人(IT担当)

『ヴィンランド・サガ』
11世紀の北欧が舞台の作品。主人公トルフィンが、父の仇を取るために旅に出るお話です。
幼い頃から戦場に出て、過酷な環境で生きてきたトルフィン。
そんな中、自分と同い年のデンマーク王子と行動を共にすることになります。
冬の行軍の最中、トルフィンが獲ってきたうさぎを王子が調理してスープを作る場面。
暴力、嫉妬、妬みなど、人間の醜い部分が多く描かれているなか、数少ない温かい団らんのシーン。
そのスープはとても美味しそうに見えますし、王子のその後を知ると、切なくもなります。
その理由は……、漫画を読んでみてください。