弾力をもって広がってゆく──レジリエンスとアディショナリティ

坂ノ途中は、環境への負担の小さい農業を広げよう!
そんな思いを持ってスタートした会社です。
それから10年が経ちました。僕たちは日々の暮らしや、社会のあり方にも少しずつ目を向けています。農業を基点として、社会を未来につづくかたちにシフトさせたい、そのために、坂ノ途中は生活そのものを考える会社へと少しずつ殻を破ろうとしています。
自然電力とのコラボレーションはそのトライアルのひとつです。


農業と、電力というエネルギーの抱える問題はよく似ています。
大量生産、大量消費というライフスタイルのままでは、どちらも近い将来に立ちゆかなくなる。

環境問題が語られるときに「レジリエンス」という言葉がよく使われます。レジリエンス=回復力、しなやかに再起する力。もしも、目先のことに囚われて、大量に作り、運び、消費していたのではレジリエンスは確保できない。
農業には「生きものとしての農作物と向き合うこと、その連鎖」が必要です。野菜を育てること、それを運び届けること、食べること、そのすべての場面で、誰もが感性と理性を働かせている。そんな社会は簡単にポキリと折れたりしない、弾力性があってけっこうタフだと思います。

エネルギーの問題も、根っこは同じかもしれないなと考えていたときに出会ったのが自然電力です。リーフレットを読むと「旬な野菜を楽しむように」と書かれています。嬉しくなって自然電力の人たちと話をするうちに、教えられたことがあります。

エネルギーの世界でいう「アディショナリティ」という考え方。アディショナリティ=追加性。どれだけ上乗せ効果があるかということ。
坂ノ途中は、環境負荷の小さい農業に挑戦する人たちをいかに増やせるかに力を入れています。すでに有機農業を実践している人たちを支えることも重要ですが、それ以上に、入ってくる人たちを増やしサポートすることが自分たちの大きな役割だと思っています。
自然エネルギーも、電力を売買する、流通させる仕事が必要な一方で、自然エネルギーを生みだす人たち、事業者を増やすことが重要だとされています。電気を売っておしまい、では先へ進まない。
自然電力は、そのアディショナリティこそを行動の軸のひとつと考えています。ある取り組みが、どれだけ次の自然エネルギーにつながるか、自然エネルギーというものを上乗せできるか、環境負荷の減少を促すことができるか。具体的には、自分たちで発電所を作る、そしてその発電所をいろいろなところに紐付けていく。収益は新たな電源の投資とする。日本、フィリピン、ブラジル、世界のあちこちで風力発電をはじめています。

僕たちも、持続可能性を追い求めるとき、このアディショナリティという概念をしっかりと持ち込みたいと考えています。
オーガニックの野菜を農家さんから仕入れてお客さんに届けることに意味はあるけれど、持続可能性につなげていくのはなかなか大変。だけど、新しく農家になろうという人が僕らに期待して農地を借りてくれたら、研修生の若者が坂ノ途中への出荷を前提に独立して就農して、いずれは研修生を育てる側に回れたら……それがアディショナリティだと思うし、大事にしていきたい。

自然電力と坂ノ途中は、考え方、課題と向き合うスタンスがとても似ています。僕たちを応援してくれる人たちは自然電力の取り組みに共感するだろうし、その逆もあるでしょう。それぞれお互いを紹介するこのコラボも、ひとつのアディショナリティとレジリエンスを生んでくれると思います。

小野邦彦