箱をあけると、季節のにおいがする。そんな、旬のお野菜セット。長年、定期宅配の利用をつづけているわたしが、暮らしのなかで感じていることや、お野菜との向き合い方をお伝えします。
●編集室スタッフ 武岡

旬のお野菜セットとは?
環境負荷の小さい農業に取り組む生産者さんからあつまる、年間500種類以上の野菜から、旬のものをおまかせで詰め合わせてお届けするセット。なじみのある定番の野菜、カラフルな西洋野菜など、バリエーション豊かな野菜との出合いを楽しめます。

ふだんの食卓に、変化や愉しみが生まれる

二人暮らしのわが家では、旬のお野菜セットのMサイズを、4週に一度利用しています。

春の菜の花や新玉ねぎ。夏のトマトやピーマン。秋のれんこんやさといもに、冬のだいこんやブロッコリー。季節ごとの野菜の顔ぶれがあり、食卓でもその移ろいを感じます。

さて、お野菜セットが届きました。

この日の内容は、コマツナ、シルクレタス、カリフローレ、セロリ、スナップエンドウ、ズッキーニ、赤玉ねぎ、新じゃがいも、柳まつたけ、あわび茸の10品と、おまけのしょうが。


箱を開けたらまず、野菜をひとつずつ見たり触ったりして、どんなふうに料理しようかと考えをめぐらせます。自分が選んだ野菜ではないからこそ、あたらしい組み合わせを思いついたり、慣れない野菜をどうおいしく食べようかと考えたり、頭と手をうごかす時間も、日常のなかでの刺激になっています。


一番に手にとったセロリは、葉の先までピンとみずみずしくて、鼻を近づけるとどこかシナモンのような甘い香り。いきいきとした野菜と対峙していると、なんだか力が湧いてきます。にんじんと一緒に煮込めば、香り豊かなスープになりました。

昨年の夏以来、お久しぶりのズッキーニは、ジューシーな歯ごたえと甘みを味わいたくて、じっくりグリルに。オリーブオイルと塩を振るだけで、ステーキのように贅沢な味わいになりました。
届いたお野菜と向き合って、その持ち味を生かすように料理にする。そんな感覚でいると、気取らないふだんの食卓でも、変化や愉しみを感じることができます。

くだものや調味料、加工品もいっしょに

季節のくだものやおやつ、コーヒー、調味料などを、宅配にあわせて追加で注文することも。オンラインショップには、スタッフが一つひとつ大切に選ぶ商品が揃っています。

おいしい調味料を揃えておくと、日々の料理も気楽になります。かけるだけ、和えるだけでも、素材の味を引き立ててくれるから、シンプルでも満足感があるんです。

たまのご褒美には、くだものも。そのままいただくのもしあわせですが、梅シロップや梅干し、柑橘のジャムといった季節の保存食づくりは、五感がはたらいて、自分の手で生活のよろこびをつくっている実感が湧きます。

暮らしが変化してもつづけている、定期宅配

わたしが、旬のお野菜セットの定期宅配をはじめたのは、京都市内で一人暮らしをしていたときでした。はじめてピンク色のビーツポタージュをつくってみたり、一つの野菜でサラダから炒めもの、煮ものまでいろいろつくってみたり。料理の幅も奥行きもひろがる感覚に、ワクワクしました。

住む場所が変わり、二人暮らしになったいま。サイズはSからMに、それまで隔週で利用していたところを4週に一度とペースを見直しましたが、暮らしに合わせて、無理なくつづけられています。

いまの住まいは、家の前に小さな畑があり、近所の直売所でも地元産の採れたての食材が手に入るようなところです。それでも、お野菜セットの定期宅配をつづけているのは、偶然にやってくるお野菜との出合いがたのしみだから。なによりも、坂ノ途中のパートナーの農家さんが育てるお野菜は味わい深く、おいしいんです。お野菜セットが届いたときは、いつもより前のめりな気持ちで台所に立っています。

自然のリズムと生きる、心地よさ

畑から届く季節の贈りもののような、お野菜セット。日々、自然と直に関わっている農家さんが手をかけて育てたお野菜が、手元に届くありがたさを感じています。
季節、それは、自然のリズム。そのリズムとともに生きていると、心も軽やかになるようです。
食べることがわたしをつくると思うから、心地よいものを選びたい。そしてそれが、自然にとっても、心地よいものだといいなと思います。