かじって美味しい、食べるレモン
広島県呉市、瀬戸内海に浮かぶ尾久比島のエビス農園さんから、陽の光をたっぷり浴びて育ったレモンが届きました。
香り高く、酸味はややまろやか。柑橘らしいさわやかな甘味があります。坂ノ途中スタッフのあいだでは「エビスさんのレモンは、”かける”ではなく”食べる”」と言われているほど。キュッとしぼってレモンサワーやお料理のアクセントに。皮ごと使って、シロップやジャム、塩レモンなど。使いかたいろいろです。
瀬戸内海に浮かぶ無人島から
レモンが育ったのは、瀬戸内海の小さな無人島、尾久比島(おくびじま)。とびしま海道の島のひとつ、豊島から南へ約300mの位置にあります。
生産者のエビス農園・胡子知生(えびすともき)さんは、この島へ毎日のように船で通い、樹の世話をしています。
船を動かす燃料費はかかるし、台風が来ると島へ渡れない。一度に運べる量にも限りがある。それでも、この島で育てる良さがあります。
● 1年を通じて温暖な気候
海の水は「温まりにくく冷めにくい」という性質があります。海に囲まれた小さな島は、温度変化が海水温の影響でおさえられ、年間を通しておだやかな気候。尾久比島はこの30年寒波知らずで、寒さが苦手なレモンに適しています。
● 日光と海からの反射光
尾久比島は、全体が小さな山のような島です。だから、畑は傾斜地の段々畑。樹々は効率よく陽射しを受けることができます。遮るものがないため、目の前に広がる海からの照り返しの光も受けられます。たっぷりの光が、レモンを美味しくしてくれるのです。傾斜地であることによる水はけのよさも、レモンの甘みが増すポイントです。
● 農薬を使わず、じっくり育てる
エビス農園さんは、農薬や化学肥料に頼らず、海藻からつくった肥料や鶏ふんなど有機質肥料を使い土づくりに取り組んでいます。無人島では、ほかの農園からの農薬飛散といった影響を受けることもありません。
つくり手のこと
胡子知生さんは、広島県江田島育ち。食品メーカーに勤め、20年以上経理や人事に携わってきました。故郷の広島へ転勤になったのをきっかけに、ずっと心にあった「自分で何かをつくりあげてみたい」という気持ちが膨らみ、就農を決意。同級生のご両親から、尾久比島のレモン畑を受け継ぎました。
1960〜1980年頃がこの地域の柑橘栽培の全盛期。島に通う人も多く、農船(瀬戸内海の島々を行き来して収穫した柑橘類を運ぶ船)が運航していました。けれどいま、この島に日々通っているのは胡子さんを含め、2軒の農家さんだけです。
レモン畑の仕事は、秋から春は収穫、春から秋は剪定と草刈りがメインです。レモンは放っておくと枝が上に上に伸びていきます。実は、上に伸びる枝にはつきにくく、横に伸びる枝にはつきやすいという性質があるため、剪定して木を低くする必要があります。引き継いだときには伸びすぎていた樹を、3年かけて整えてきました。
「この畑の樹は、30〜40歳ぐらい。就農してまだ数年の自分よりずっと先輩ですね」と胡子さん。1本1本丁寧に樹のお世話をし、土づくりに取り組んで、レモンを育てています。
お客さまのお声
見た目のワイルドさとは裏腹に穏やかな酸味で優しい味。自立して食材を自分で購入するようになってから、旬、産地、生産者さんの背景などいろいろと考えて選ぶようになりました。全てをこだわることは出来ないけれど、ひとつの食材に込められた想いや物語を知ることで、食材を大事に使う心がけが身についてきたように思います。我が家の定番レモンドレッシングと、毎年レモンの季節に作っている塩レモンを、今年はこの無人島のレモンで作ってみました。できあがりが楽しみです。( @qillilly さん)
安心して皮まで丸ごと使えました。パエリアはレモンのさっぱりした風味で魚介の味が引き立って美味しかったです。皮の厚みと香りがあるので、レモンの美味しさををうんと楽しめるケーキになりました。 (アンバサダー @nora_mayu さん)
レモンでつくる保存食
秋のおわりから冬、春のはじめにかけてがレモンの収穫シーズン。
保存食を仕込めば、夏までさわやかな味を楽しめますよ。
冷え込む日や風邪ぎみのときにはお湯で割ってあったかドリンクに、夏場やお風呂上がりにはソーダで割ってさっぱりレモンソーダに。生姜などでアレンジを加えてみるのもおすすめです。
手軽につくれる発酵調味料。レモンの皮のさわやかな香りと酸味、米糀の甘みが溶けあい、こくのある味わいに。温野菜につけるとおいしいですよ。
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塩レモンのつくり方といろいろな活用方法をご紹介。できあがった塩レモンは、サラダのドレッシング、スープ、炒め物などの隠し味、マリネ液など、さまざまなお料理に活用できます。
レシピはこちら≫
レモンのおいしいレシピ
濃厚なクリームソースパスタを、レモンの爽やかな酸味でさっぱりと。
仕上げにレモンの皮をすりおろして、香りも楽しみましょう。
セロリの塩炒めに皮ごとレモンを加えました。カレーの副菜などにぴったりです。
柑橘の皮の砂糖漬けにチョコレートをコーティングした、フランスのお菓子「オランジェット」。
爽やかなレモンにビターなチョコレートを合わせました。皮までまるごと楽しめるレシピです。
フランスの伝統的な焼き菓子、ウィークエンドシトロン。
グリーンレモンの果汁や皮を使い、ほどよく酸味のある爽やかな味わいに仕上げています。
ほかにも、レモンのレシピをこちらでご紹介しています。
試してみてくださいね。
レモンで手仕事
スタッフもレモンの手仕事にチャレンジ。塩レモンとはちみつレモン、それぞれの活用法もご紹介します。
坂ノ途中スタッフによる柑橘リレー。柑橘のシーズンを長く楽しんでいただけるよう、わたしたちスタッフの活用法や体験談をリレー形式でご紹介。
また手にとりたくなる野菜について
美味しく育つ、理由がある
日本の風土は多様です。
暖かな風と日光に恵まれたところ、ずっしりと雪が降り積もるところ、豊かな森と海に囲まれたところ――。
気候や地形、土壌によって、育つ作物もさまざまです。
その土地の特長を生かしながら、手をかけて育てられたお野菜は、うんと美味しい。
たとえば、瀬戸内海の無人島で日光をたっぷり浴びたまろやかなレモン、鳥取・大山のジンジンとする寒さのなかで甘みの増したキャベツ、対馬の海風を受け栄養を蓄えた原木で育った香り高いしいたけ。
「また手にとりたくなる野菜」では、そうした、美味しい背景、ストーリーをもったお野菜やくだものをお届けします。お料理をつくりながら、食卓を囲みながら、「農家さんはこんな人なんだって」「こういう場所で、こんな工夫で育てられているんだよ」「また食べたいね」そんな会話のきっかけにもなれば、とても嬉しいです。