坂ノ途中 放射性物質についての対策と考えかた

大震災・原発事故と坂ノ途中のこれまで

2011年3月11日の東日本大震災、それにともない発生した福島第一原子力発電所事故。
多くの尊い生命が失われ、たくさんの人に深い悲しみがつきつけられました。
そして、被害を受けることのなかった人たちにとっても、自分の生き方、とりわけ自然とのかかわりかたの問い直しが迫られました。
坂ノ途中では、深刻な被害に遭われた農家さんの関西への移転をサポートする「ハローファームプロジェクト」や、被災地域のお客さまへお野菜をお届けすることで、その被害と影響とに向き合ってきました。
2012年には放射線測定機を導入。提携農家さんの畑の土壌の測定を行い、原発事故の影響をわたしたち自身が正しく把握するための体制を整えてきました。

京都で原発事故と向きあう意味

わたしたちが本社を置く京都は、多くの原子力発電所が林立する若狭湾を北に構えています。大きな地震・津波によって原子力発電所のもつ脆弱さが明らかになったいま、このたびの事故を見つめる必要を強く感じています。
わたしたちは環境と密接にかかわる企業のひとつです。
自分たちにできることは大したことではないかもしれません。それでも、手の届く範囲で起きていることを把握し、誠実に考え、対応していこうと考えてます。

坂ノ途中の放射能検査体制について

残留放射性物質検査を行っています

坂ノ途中は本社が京都にあり、西日本のお野菜、果物を中心に取り扱っています。
けれども、季節や作物の性質(適地適作)によっては、岐阜や長野といった中部地方や北海道のものをお客さまにお届けすることもあります。そのため、下記の対象地域(*1)の生産者さんを対象に、取引を開始する際に放射性物質検査を行っています。
万が一、自社基準値を超過する放射性物質が測定された場合、再検査を行います。再検査でも基準値を超える場合、そのシーズン(*2)、その生産者さんの農産物は取り扱いません。

〈検査対象地域〉17都県
青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島・茨城・栃木・群馬
千葉・埼玉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野・静岡
(17都県のうち「お野菜セット」で取り扱う産地は山梨、長野、静岡の3県)

(*1) 食品中の放射性物質に関する
「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正
(原子力災害対策本部策定)平成 29 年 3 月 24 日
(*2)シーズンとは、「作型」という意味です。
品目により1年1作や2~3作のものがあります。
基準値を超過した場合、1シーズン(1作型)の取り扱いを中止します。
1年1作型   例:サトイモ、カボチャ、リンゴなど
1年2作型以上 例:ホレンソウ、コマツナ、小カブ、ブロッコリーなど

きのこ類は、『全産地』の『きのこ』そのものを検査します

きのこ類(菌茸類)については、菌茸類の特性(下記参照)から17都県に関わらず全都道府県の『きのこ』そのものの残留放射性物質の測定を行います。検出限界は5Bq/kgを設定しており、そのうえで不検出の場合のみ、取り扱います。

菌茸類の特徴
①生産資材(ホダ木、菌床おがくず等)への放射性物質の影響
②菌茸類が比較的、資材・原木からの放射性物質を吸収しやすい(移行係数が高い)
林野庁『きのこ原木及び菌床用培地等の当面の指標値設定に関するQ&Aについて、Q3』
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shiitake/sihyouti2.html

よくあるご質問

Q. どんな分析方法ですか?
委託先  :第三者分析機関(民間)
測定方法 :ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクメトロメトリーによる核種分析法
検出限界値:5Bq/kg(実質1.0~3.0Bq/kg)
精度管理 :ISO/IEC17025:2005(認定項目:放射線測定)

Q. 基準値の設定について
坂ノ途中 自社出荷基準
野菜、果物、穀類:20Bq/kg未満 (Cs-134、137各)
きのこ類:不検出 (検出限界5Bq/kg程度において)

※坂ノ途中では、野菜セットに入れる長野(高原)などの野菜、注文品の果物、様々な地域の穀類、キノコの残留放射性物質(実質Cs-134、137)検査を行っています。ですが、どのサンプルからも検出(検出下限値1.0~3.0Bq/kg)されていないのが実情です。自社の独自基準(20Bq/kg)は設けていますが、目安とお考え下さい。

参考
国の基準値
飲料水:10Bq/kg、牛乳・乳児用食品:50 Bq/kg、一般食品100 Bq/kg

Q. なぜ検査対象地域を定めているの?
検査対象地域とした17都県は、国の原子力災害対策本部により策定された、食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」(*1)をもとに定めています。
該当する地域では、地方自治体や企業による数万件を超える分析が行われています。
なお17都県以外の地域でも、青果物からわずかな数値が検出されたことがあります。ですが、その数値は非常に低く、検出された件数も過去数年で数件という頻度です。
参考

(*1)食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正(原子力災害対策本部策定)平成29年3月24日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000156399.html

Q. どういうときに検査を行っているの?
新規にお取引を開始する際に、検査を実施しています。
多品目の生産者の場合、次の2パターンのうち、より実情に合った分析を行っています。
・お取引が始まる際、最初に出荷される品目
・生産者の主力農産物

これからの検査体制(2018年10月~)

委託先 :民間の第三者分析機関
測定方法:ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクメトロメトリーによる核種分析法
検出限界値:5Bq/kg
精度管理:ISO/IEC17025:2005(認定項目:放射線測定)

お問い合わせ

放射線対策に関するお問合せは、お問い合わせページより、 内容に「放射線測定について」とご記入のうえ、お問い合わせください。

淡々と、前向きに、これからのこと。

坂ノ途中が活動している京都を含む近畿地方は、国内で最も原子力発電に依存している地域です。私たちはそのような社会、場所に暮らしているのに、エネルギー問題にそれほど深い注意を払ってはいませんでした。
そして事故が起こり、難しくてややこしい放射性物質・放射線がとても身近なものなってしまいました。
深く自省しなければなりません。
ウラン採掘の時点から原子力発電は多くの問題を抱えています。
原発事故の前から私たちは、原子力発電のもつ危うさや、一部の地域や未来に負担を押し付ける構造に対しもっと強く問題意識を持つべきでした。
自分たちの不勉強さを悔いる気持ちをもって、この先もいろんな角度から学び、考察していきます。お客さんや提携農家さんたちとも密にやりとりをしながら、最善の、できる限り納得できる対策のありかたをともに模索していきたいと考えています。
みなさんのご意見も、ぜひお聞かせください。

坂ノ途中の栽培や基準についての考え方 一覧
 「いまのところの」取り扱い基準
 特別栽培についての考え方
 放射能に対する取り組み
 栽培基準とその運用について