加工品の取り扱い基準、作ってみました。

坂ノ途中は農産物の取り扱いに基準を設けています。
坂ノ途中の農産物の取り扱い基準はこちらから。
日々、農家さんとお話をしたり、資材の確認を行うときは、杓子定規にならないように気をつけながら、
この基準を運用しています。

 

でも、お野菜はそうなのに、加工品にはルールを定めてきませんでした。

これまで加工品は取り扱い量も少なく、
仲のいい農家さんがジャムをつくったからお客さんに案内してみよう、
いつものお米を原料にした味噌ができたからあの人が喜びそうだ、
そんなつながりで扱ってきました。
けれども、だんだんと種類が増え、ありがたいことにお客さまも増えて、
「これは、どんな基準で選んだの?」と訊ねられるたびに、
「まあ、基準というか、ほら、ご縁で……」と、もごもごするばかりです。

 

そんなわけで──ずっともごもごしているのは坂ノ途中っぽくないというか、気持ち悪い──加工品にも大まかな取り扱い基準を定めました。

坂ノ途中がご案内する加工品は、この基準に沿って選定したものをご案内していきます。

基準01

環境に配慮してつくられていること

サステナビリティって、未来を考えることからはじまります。

僕たちはこの取り扱い基準を定めるにあたって

  • 適地適作を大切にすること

  • 栽培だけでなく、加工や輸送に関わる環境負荷にも目を向ける

  • 遺伝子組み換え作物からつくられた加工品は扱わない

という大きな枠組みをつくりました。

 

お野菜の取り扱い基準の場合は、農薬や化学肥料を使わずに育てることという、それなりにわかりやすい線引きをしているのですが、加工品はそう簡単にはいきません。ひとつひとつ、商品それぞれについて、環境への配慮について確認をしてから取り扱いをはじめます。

調味料を例にしてみます。

醤油や菜種油のような、日本の伝統的な調味料については、国産の原料であることやその製法に目を向けます。輸入のオーガニック原料で作られたものより、地元で栽培された原料を使ったものを優先的に扱います。オーガニックであればよいけれど、それには固執しない。

その一方で、オリーブオイルやごま油などは、適地適作の観点から、外国産のものが中心となります。これについては、農薬や化学肥料を使わずに栽培された原料が用いられていることを原則とします。

オーガニック認証については、あまり重きを置いていません。お野菜の取り扱いと同様で、規模の小さな生産者さんたちを大切にしたいと考えています。

加工品で気になるのは添加物ですが、あまりに種類が多く、簡単な線引きをすることができません。基本的には、ひとつひとつを調べたうえで可否を判断していきます。

※原材料を生産者さん自身が栽培しており、「化学合成農薬・化学肥料不使用」と表記している場合は、農産物の取り扱い基準に沿っているか、毎年確認しております

 

基準02

ちゃんとした味わいがあること

坂ノ途中には「おいしいもの担当」というスタッフがいます。
ほかにもお野菜博士な人や、子育て中のお母さんな人や、
まかない担当の人、集荷や配達の担当の人、いろいろな人がいます。

みんなで食べてみて、きちんとした味、おいしいと感じられたものを取り扱います──不思議なことにみんなの好みには共通点があって、素材の味わいがきちんと生きていて、しみじみとおいしい、あとになって思い出す、そんな感じのものが人気です。パンチがあってガツンとおいしい、ひと口で病みつき的なものは違うみたいです──。

おいしいけれど値段が高くて食べるときに緊張して味がわからないとか、
パッケージはおしゃれだけど中身が少なすぎるとか、そういうのはやめておきます。

 

基準03

アディショナリティ、追加性があること

エネルギー問題や気候変動対策の界隈でしばらく前からアディショナリティという言葉が用いられています。あるアクションがどれだけ上乗せ効果を生んだかという考え方を表す言葉。

僕たちは持続可能性の追求にこの概念を持ち込みます。

たとえば、すでに経営もしっかりしている農家さんのオーガニックのお野菜を扱っても、あまり追加性は望めません。でも、若い農家さんが僕らに期待して農地を増やしてくれたら、農家を目指す人が僕らへの出荷を前提に就農して、いずれは研修生を育てる側に回れたら。それがアディショナリティ、追加性のある話なんだと思います──坂ノ途中が提携している農家さんの8割が新規就農者なのは、そういう理由です。

加工品に対しても同じ考えです。

規模は小さくても、このメーカーさんが事業を継続していけば地域を変える力になるかもしれない。有意義な挑戦をしているけれど、生産量が不安定で流通には乗りにくい。そういった人たちと連携していく。

また、その加工品が多くの人たちの手元に届くことが、環境負荷の小さな社会に近づくと考えるものは、輸入品やオーガニックであるなしに関わらず、積極的に取り扱っていきます。

たとえば、環境に大きな負荷を与える肉の消費を減らすための代替品として、ソイミートを提案する、といったことです。

 

 

あとがき

お野菜の取り扱い基準のところにも書きましたが、
基準をつくったから「はい、おしまい」というわけではありません。

社会とそのなかにある農業は日々変化していくし、
技術の進歩や、あたらしい考え方も生まれていきます。

だから、この加工品の取り扱い基準は大切にはするけれども、
スタッフのなかで話し合いもするし、常に検証しつつ運用していこうと思います。
完成されたルールではなくてスタートライン、そんな感じです。

じゃあこれはどう考えてるの? そんな疑問、質問がありましたら、どしどしお願いしますね。

     坂ノ途中の栽培や基準についての考え方 一覧