場所 ウガンダ
目的 ウガンダの気候や土質、歴史文化などの文脈に沿った農産物の栽培を通じ、環境負荷の低減と農村部の所得向上を両立させる
作物 ごま、バニラビーンズ、シアバターなど
協力 JICA(国際協力機構)、JETRO(日本貿易振興機構)、AISUD(Agriculture Innovations for Sutainable Development - Uganda)など
期間 2012年-2017年
その後 主担当の宮下が現地で設立したCOTS COTS LTD.が事業を承継しています。

プロジェクトサイト

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坂ノ途中は、2012年より東アフリカのウガンダで有機農業の普及活動をはじめました。
2017年からは、主担当の宮下が現地で設立したCOTS COTS LTD.が事業を承継し、より活動の幅を広げています。

ウガンダオーガニックプロジェクトのこと

いわゆる発展途上国では、将来に及ぼす影響が十分に理解されないまま、農薬や化学肥料の使用が急速に広まりつつあります。
今の収穫量を増やすことを追求するのと引き換えに、土壌が劣化したり、水質は汚染されたり、同じ土地から将来得られるはずだった収穫は失われてしまいます。農薬や肥料を購入するために過度な借入を行うことで、不作時に暮らしが立ち行かなくなるリスクが高まってしまう農家さんも増えています。
急速な変化を遂げている地域だからこそ、地域の資源を有効に利用し、豊かな土壌を未来に残すことのできる農業のかたちが必要。そう考え、2012年にウガンダで活動をスタートしました。

活動した5年間のあいだに、多くのチャレンジをすることができました。
適地適作が持続可能な農業のベースだと考え、乾燥化が進む地域に、少ない雨量でも育つごまの栽培を試験的に導入しました。ごま自体は対象地域に根付かなかったものの、より難易度の高い作物に挑戦する農家さんが現れるなど、前向きな変化もありました。
一方で試験栽培期間中に干ばつが深刻化し、もともと限定的だった現金収入の機会がさらに失われてしまうという現状も目の当たりにしました。
そこでマイクロファイナンスとの組み合わせを模索し、現地マイクロファイナンス団体との統合を試みたり、都市近郊で農産物を栽培し首都カンパラで販売するといったことも行ってきました。

そのほか、数年にわたり日本に向けてごまとシアバターの輸出をおこないました。それぞれのこれまでとこれからを少し紹介させてください。

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ごまのこれまでとこれから

新たにごま栽培を導入しようとした地域では根づかなかった一方で、このトライアルによってごま栽培による所得確保の有効性を確かめた私たちは、もともと乾燥地域でごまを栽培していた生産者グループのごまを日本に輸入してきました。少ない雨量でも育つごまの販路をつくっておくことは、天水農業が主体の栽培環境下において必要なことだと考えたためです。

これまでに京都の山田製油さんにごま油や炒りごまに加工していただいたり、滋賀のがんばカンパニーさんに「シムシムクッキー」というクッキーをつくっていただいたりして販売してきました(「シムシム」はウガンダの言葉でごまを意味します)。
ウガンダ北部のごまは小粒でちょっと割高感はありますが、そのしっかりとした香りを気に入ってくださる方も多く坂ノ途中のロングセラー商品となりました。

一方で、ごまの輸出入に関する知見に乏しい私たちが、品質劣化が起きないように内陸国のウガンダからケニアに陸路輸送、そして日本に輸出することは大変に難しく、品質管理の面で常に問題を抱えてきました。

2017年にウガンダでの事業を承継したCOTS COTS LTD.は生産者グループとの連携を深め、ごま同様耐乾性をもつ換金作物であるオーガニックコットンや唐辛子(バードアイチリという、小さくてとても辛い品種です)の輸出をスタートさせ、取扱量も増えてきました。
このことから、ウガンダ北部で有機農業に取り組む生産者グループの日本向け販路をつくっていくという役割はある程度果たせたと考え、坂ノ途中としてはごまの取り扱いに関しては2021年に売り切れ次第終売とすることを決めました。
なお、坂ノ途中ではウガンダのごま油が売り切れ次第、今後は京都の山田製油さんのごま油を販売してまいります。

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シアバターのこれまでとこれから

ウガンダ北部、内戦によって深刻な影響を受け、難民キャンプから村に戻り生活を再建している地域で、シアの木から採れる種を絞り、シアバターを製造してもらっています。
シアの実の採集や工場での生産を担う人たちの多くは女性です。彼女たちにとってシアバターは、昔からずっと使ってきた万能油。自分の髪の毛にも赤ちゃんにも塗るし、料理にも使います。そんななじみのあるものを、再建を支える現金収入の機会にしようという試みです。

日本に運んできたシアバターは再度精製し、化粧品や化粧品原料として販売しています。
坂ノ途中のオリジナル商品は、こちらのシアバターナイロティカです。そのほか、THE株式会社さんのTHE SHEA BUTTERなど、複数のメーカーさんに化粧品やせっけんの原料としても供給しています。

こちらは、年に一度のペースで輸入をつづけていく予定です。
ウガンダのシアは、ナイロティカという、その名の通りナイル川流域にだけ生息する品種。融点が低く、とても肌なじみが良いのが特徴です。毎年色も香りも少しづつ違う、そんな農作物としての個性も楽しんでいただけたらと思います。

坂ノ途中の海外事業のこれから

ウガンダでの事業で、坂ノ途中はとても多くのことを学びました。
地域内での資源の循環を大切にしつつ、地域や国境をまたいで、気候や環境に合わせて役割分担していく。そんな活動を広げたくて、2016年からは海外での事業の第2弾として海ノ向こうコーヒー(旧名メコンオーガニックプロジェクト)をはじめました。

ラオス北部でコーヒーの品質向上を試みることからはじまった海ノ向こうコーヒーは、活動エリアをミャンマーや中国雲南省などへ広げています。焙煎する前の生豆を輸入し、焙煎所さんや飲食店さんに買っていただいていましたが、2020年からはそれに加え、自社で焙煎した豆の販売も始めました。

コーヒーも、ごまやシアバターと同じく産地や生産者、シーズンによって香りや味わいが異なります。コーヒーを飲みながら、産地に思いを馳せていただけたら嬉しいです。
海ノ向こうコーヒーのウェブサイトはこちらから。