コーヒー粕から生まれる、おいしいつながり

京都市伏見区を拠点に、コーヒー粕を活用したきのこ栽培に取り組むRE:ARTHさんから、肉厚でぷりっと弾力のあるひらたけをお届けします。
コーヒー粕は栄養分を含むものの、そのままでは分解が進みにくいため、肥料として使いにくい面があります。けれど、そこにおがくずを混ぜて菌を植え付けると、ひらたけがコーヒー粕を分解しながら育ちます。そして、収穫した後の廃菌床は近隣の農家さんのもとへ。たい肥として土に漉き込まれ、おいしい野菜が育ちます。
土から育ったコーヒーが、ひらたけ栽培をとおして土に還り、また次の実りへ。そんなつながりができています。
火を入れるとふわっと立ちのぼるいい香り。そして、噛むほどにじゅわっとうまみが溢れる濃い味わいに驚きます。
まずはシンプルに、ソテーがおすすめ。塩やお醤油など味つけもシンプルに。そのほか、炒めものやパスタ、スープ、炊き込みごはんなど、どんなお料理でも楽しめます。
おいしさの裏側に、つながる仕組みを

RE:ARTH代表の倉橋さんは、アフリカへの留学中、食べものが足りないことが人々の暮らしに大きな影響を与える現実と向き合ってきました。また、経済の発展と引き換えに自然環境が損なわれていくことにも強い違和感を抱いたといいます。人間の食を支えながら、同時に環境への負荷も減らせる仕組みをつくれないか。そんな問いが、今の活動の原点にあります。
「地球上で”ゴミ”を出しているのは人間だけ。使い方を分かっていないものを”ゴミ”と定義し、捨てることを正当化しているように思う。地球に住まわせてもらっている以上、この”ゴミ”を可能な限り減らしていく必要があると考えているんです」そう倉橋さんは語ります。
捨てられてしまうものを活かして、食べるものをつくれないかと考えたとき、『ブルーエコノミーに変えよう』という書籍で紹介されていた、コーヒー粕を使ったきのこ栽培を思い出したそう。京都はカフェや喫茶店が多く、コーヒー粕が安定して集まりやすい土地なので、いいんじゃないか、と。
けれど、飲食店からのコーヒー粕は通常「一般廃棄物」に分類され、収集・処理には厳しい規制があります。倉橋さんは、京都市と話し合いを重ね、コーヒー粕を「有価物」として回収できるようにしました。そして2020年、ひらたけの栽培を開始。今では京都市内を中心に、取り扱うお店も増えてきました。
おいしいきのこを育てること。今まで捨てられていたものに新しい役割を与え、食と農の循環をつくっていくこと。そのどちらも目指して、倉橋さんの挑戦はつづきます。おいしさの背景にある物語も、あわせて味わっていただけたらうれしいです。
また手にとりなくなる野菜について

美味しく育つ、理由がある
日本の風土は多様です。
暖かな風と日光に恵まれたところ、ずっしりと雪が降り積もるところ、豊かな森と海に囲まれたところ――。
気候や地形、土壌によって、育つ作物もさまざまです。
その土地の特長を生かしながら、手をかけて育てられたお野菜は、うんと美味しい。
たとえば、瀬戸内海の無人島で日光をたっぷり浴びたまろやかなレモン、鳥取・大山のジンジンとする寒さのなかで甘みの増したキャベツ、対馬の海風を受け栄養を蓄えた原木で育った香り高いしいたけ。
「また手にとりたくなる野菜」では、そうした、美味しい背景、ストーリーをもったお野菜やくだものをお届けします。お料理をつくりながら、食卓を囲みながら、「農家さんはこんな人なんだって」「こういう場所で、こんな工夫で育てられているんだよ」「また食べたいね」そんな会話のきっかけにもなれば、とても嬉しいです。

































