農林水産省は持続可能な食料システムを構築するべく、2021年に「みどりの食料システム戦略」を策定しました。現在、耕地面積の0.6%(2万5200ha)となっている有機農業の面積を、2050年までに25%(100万ha)に拡大する目標を掲げています。
今後、定期的に発表していく予定の「有機農業白書」は、有機農業を広げるために行動する人、もしくは行動したいが何をすれば良いか分からない人にとっての地図となることを目指しています。
坂ノ途中が一社で作成できるものには限りがありますが、それでも現状と課題を理解し、目標のために何が足りていないのかを検討する一助になればと考えています。今回はvol.0として、現時点で坂ノ途中が見えている範囲のことをまとめました。今後、多くの方と連携し、より正確な方向性を示すことのできるものにしていきたいと思います。
有機農業白書 vol.0 〜有機農業を広げる妥当性と必要な支援〜
・有機農業の拡大は環境持続性に貢献するか?
そもそも持続性の定義とは何なのかという問いからはじめ、有機農業と慣行農業が環境に与える影響の国際的な比較や、日本国内に当てはめた場合の有効性などを解説します。
・有機農業が広がりにくい原因は何か?
有機農業を広げるにあたって何が問題となっているのか、坂ノ途中が多くの情報を持っている「新規就農者」に焦点を当てて考察します。就農のための情報収集、就農への具体的な準備、就農後、という3つのステップにおいてどのような支援が必要なのかをまとめています。
執筆者について
小松 光(Hikaru Komatsu)
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。大学・研究機関(東京大学、九州大学、京都大学、台湾大学など)で教育・研究に従事。世界銀行、国際連合教育科学文化機関などのアドバイザーも務めた。2023 年9 月に坂ノ途中に入社。研究室で、坂ノ途中の事業の文明論的意味について考えている。白書vol.0 では、全体の企画・構成、2 章の構成、2,3 章の執筆を担当。
平島 晴生(Haruo Hirashima)
静岡県立大学大学院 薬学研究科(修士・薬学)を卒業後、小野薬品工業株式会社に研究職として入社。医薬品の品質試験法の開発や新薬申請に必要なデータ取得の業務に従事した。その後、事業性評価やマーケティング、DX などの業務に従事。2023 年10 月から1 年間、坂ノ途中に出向中であり、主に研究室の事業開発・事業改善に従事。白書vol.0 では、3 章の構成と執筆を担当。
樋口 雄飛(Yuhi Higuchi)
神戸大学大学院 自然科学研究科(修士・工学)を卒業後、株式会社野村総合研究所に経営コンサルタントとして入社。経営戦略・マーケティング戦略・業務改革等、業界・テーマ横断でコンサルティング業務に従事。その後、新生銀行グループにて信用リスク管理、データ・AI 利活用、DX などに従事。2023 年9 月から坂ノ途中の取締役として、「坂ノ途中の研究室」を起点に、環境負荷の小さい農業の経営ハードルを下げるための事業開発・事業改善に従事。白書vol.0 では、全体の企画・構成、3 章の執筆を担当。
横浜 美由紀(Miyuki Yokohama)
立命館大学国際関係学部卒業。株式会社ロフトワークなどでクリエイティブディレクターとしてHP のコンセプト策定や設計図作成、デザインディレクションやライティング業務などを行う。2018 年に坂ノ途中に入社し、HP のリニューアルや運用を担当。「坂ノ途中の研究室」の発足に伴い、2022 年1 月よりセオリーオブ・チェンジや「坂ノ途中の報告書」の作成、インパクト調査・測定などに従事。白書vol.0 では、全体の企画・構成、3 章の執筆、表現の統一・調整を担当。
渡邊 春菜(Haruna Watanabe)
東京工業大学環境・社会理工学院卒(修士・工学)。現在、同大学院博士課程在籍中。専門はランドスケープデザイン、景観工学。2021 年にインターンとして坂ノ途中に入社。「坂ノ途中の研究室」の発足に伴い、2022 年1 月よりインパクト調査・測定、セオリーオブ・チェンジや「坂ノ途中の報告書」の作成に従事。白書vol.0 では、全体の企画・構成、データ分析を担当。