~第一号は山梨県北杜市。地域の特性をデータで可視化することで、新規就農者の誘致へ~

株式会社坂ノ途中(本社:京都府京都市、代表取締役:小野 邦彦)の「坂ノ途中の研究室」は、特定の地域における有機農業の実態を把握するため「地域版・有機農業白書(以下、地域版白書)」の提供を開始しました。

第一号となる「北杜市版有機農業白書」では、北杜市での有機農業における就農実態や生産者の経営状況をデータ化。全国平均との比較を通じて、北杜市の有機農業の特性を明らかにしています。坂ノ途中は今後、さまざまな地域と連携し、「地域版白書」の展開とともに、全国的な有機農業の推進を目指していきます。

2021年に農林水産省が発表した、持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」に基づき、有機農業の推進に取り組む地方自治体が増えています。一方で、「何から着手すべきか」「どのような施策が効果的なのか」を判断するための実態把握が難しく、具体的なアクションに悩む自治体も少なくありません。

坂ノ途中は2022年に「坂ノ途中の研究室」を発足。これまで蓄積した知見やデータを活かし、企業や自治体、大学などと連携して、有機農業を広げるためのリサーチや事業開発を行ってきました。2024年9月には、全国の有機生産者へアンケート調査を実施し「有機農業白書 Vol.1」を発行。同書では、これまで取り組まれていなかった有機農業に関する情報集積を目指し、有機農業の生産・流通・消費における現状を分析しています。

さらに、地域によって有機農業の実態が異なることから、このたび「地域版白書」の提供をスタートしました。その第一号となるのが山梨県北杜市です。北杜市は、豊かな自然に恵まれ、20年ほど前から新規就農者を中心に有機農業に取り組む生産者が増えてきました。坂ノ途中と北杜市は、昨年6月に包括連携協定を締結、有機農業のさらなる推進に取り組んでいます。

今回、坂ノ途中の研究室が調査を実施した結果、「希望の土地への就農者が多い」ことや「自治体による支援が充実している」ことなど、北杜市で有機農業が普及する背景が明らかになってきました。これらの結果は、北杜市で新規就農を検討する方の判断材料になるとともに、地域の実態に即した支援体制の構築にも活かせると考えています。

また、調査の中で、自治体支援の効果や売上規模による農業の形の違いなど、他の地域で活かせる知見も得ることができました。坂ノ途中は、今後もさまざまな地域と連携して「地域版白書」を展開し、共通項となり得るデータを収集、分析していくとともに、全国各地で、地域の実態に合った有機農業の推進や地域づくりを支援していきます。

 

「北杜市版有機農業白書」(調査結果)の一部を公開

■ 新規参入者が9割、「市の支援を得られている」は76%
調査では、回答した有機生産者のうち9割が新規参入者*1という結果が得られました。また、自治体からの支援が得られていると回答した新規参入者は全体の76%で、全国対象の調査結果(61%)*2と比較すると、相対的に充実していると言えます。これらの結果から、新規参入者の割合が高い背景には自治体支援の充実度も関係していることがうかがえます。

 

■ 新規参入者の81%が希望の土地で就農
調査結果から、北杜市では、新規参入者のうち81%が希望の土地に就農できていることが分かりました。全国の調査では、希望の土地への就農可否がその後の経営状況に影響するという結果が得られており、北杜市でも、所得が400万を超える人は36%を占めています。全国の新規参入者(5年目以上)の農業所得の中央値は150万円*3 であることからも、北杜市では所得を確保できている割合が高く、希望の土地への就農が継続的な営農につながっていることが推察されます。

■ 売上規模によって異なる農業の形
売上と所得の相関関係を分析した結果、総売上1,000万円前後では利益率が高く、農業関連事業や農外事業を組み合わせている傾向があることが分かりました。また、売上1,000万円以上の規模になると共同出荷への参加が大勢を占めています。こうした、売上による農業の形の違いは、今後もデータを蓄積していくことで、就農の検討材料や就農後の経営判断の指標となりえます。

*1 親から農業を継承したわけではなく、土地や資金を自ら確保し、農業以外の業界から新たに農業に参入した生産者
*2 坂ノ途中の研究室.(2024年9月).「有機農業白書 Vol.1 ~現状把握から将来展望へ〜」(p78,p80)
*3 一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センター.(2025年3月).「新規就農者の就農実態に関する調査結果-令和6年度-」(p41) https://www.be-farmer.jp/uploads/statistics/r6_zittai.pdf

 

「北杜市版有機農業白書」概要

・名称 : 北杜市版有機農業白書
・発行者: 北杜市
・執筆者:坂ノ途中の研究室 小松光、渡邊春菜
・発行年:2026年
・構成 :
  1. どのような有機生産者がいるのか?
  2. 生活はできるのか?
  3. 農業の形
  4. 北杜は何がよいのか?
・閲覧方法: 北杜市のホームページや就農窓口での公開を予定しています

本白書で得られたデータを活用して、北杜市で有機農業での就農を検討している方に向けたサイトを制作しました。調査結果をもとに北杜市の魅力を伝えることで、就農者の誘致につなげていきます。
サイトは下記よりご覧いただけます。

北杜市の有機農業情報サイト:https://organic-hokuto.jp/

 

全国の自治体の方へ

 「全国版・有機農業白書」のダイジェスト版(無料)をご希望の方は、下記よりお申し込みください。

・有機農業白書URL:https://www.on-the-slope.com/whitepaper/

 坂ノ途中は、全国約1,000軒の有機農家とのつながりをもち、新規就農者に伴走してきた経験やデータをもとに、有機農業の推進を目的に自治体との連携を行っています。ご関心がありましたら、坂ノ途中の研究室までご連絡ください。

・自治体の方向けサイトURL:https://www.on-the-slope.com/government/
・お問い合わせフォームURL:https://forms.gle/vCd4EjaRHPBCf1dJ9

<連携内容>
・地域計画の策定支援および実行支援
・有機農業白書のデータを活用した、産地の強み分析
・新規就農者向け研修や機運醸成
・新規就農者や移住者の誘致施策の立案と実行

<自治体との取り組み事例>
有機農業の推進に関する包括連携協定を締結(山梨県北杜市)
有機農業研修の実施(滋賀県)
地域おこし協力隊の募集・育成伴走支援(奈良県三宅町)

 

株式会社坂ノ途中

環境負荷の小さい農業を実践する生産者の増加を目指し、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行っています。全国約400軒の生産者と提携し、うち約8割が新規就農者です。「坂ノ途中の研究室」では、自治体や大学、企業と連携した調査や研究、就農希望者向けの研修などを実施。農業分野を代表するソーシャルベンチャーとして事業成長を続けています。
京都市「これからの1000年を紡ぐ企業」、経済産業省「地域未来牽引企業」、「J-Startup Impact」など、受賞多数。「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」にも掲載。


・代表者:小野 邦彦
・本社所在地:京都市南区上鳥羽高畠町56
・設立日:2009年7月21日
・資本金:50百万円
・会社URL:https://www.on-the-slope.com/corporate