さわやかな風味広がる、熟成マスタード
高知県四万十町から、白菜やかぶなどのお野菜を出荷してくださっている〈桐島畑〉さん。今回は、マスタードを届けてくださいました。
原材料のマスタードシードは、桐島畑さんが自家採種しているもの。そこへ、同じ四万十町で塩をつくっている〈山塩小僧〉さんの塩、京都〈村山造酢〉さんの「千鳥酢」、鹿児島県産の粗糖を合わせ、2週間熟成。マスタードシードの辛みや豊かな風味を引き出しました。
プチプチっとした食感が楽しいマスタード。酸味、甘味のバランスがよく、さわやかな風味をしっかりと感じることができます。辛みもほどよく、大人からお子さんまで幅広い年代の方に楽しんでいただけます。
お肉やお魚だけでなく、お野菜との相性もばっちり。シンプルに焼いたり茹でたりしたお野菜にちょこんとのせたり、オリーブオイルやはちみつと混ぜてドレッシングをつくったりするのもおすすめです。
坂ノ途中の編集室でも、マスタードを使ったお野菜レシピをご紹介しているので、試してみてくださいね。
つくり手のこと
■桐島畑(高知県四万十町)
高知県の西部を流れる四万十川のほとりで「種の採れる野菜」をモットーに、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、できるだけ自然に負担のかからない農業を営む〈桐島畑〉さん。
代表の桐島 正一さんは「お野菜でも調味料でも、自分でつくるのが好きなんです」と朗らかな笑顔で話します。
このマスタードも、市販のものは酸味が強いと感じて、それなら自分でつくってみようと思ったのがきっかけ。
まずは、原材料となるマスタードシードを採るため、からし菜を育てることに。それも、どの品種のからし菜を使うのか、選ぶところからはじめました。さまざまな品種を育て、マスタードシードを採り、マスタードを試作し……最終的に、コクと風味のバランスの良かったイエローマスタードシードと、高菜の種を使うことにしました。
さらに試行錯誤はつづきます。合わせる酢や砂糖、塩を選び、さまざまな熟成期間を試したり、マスタードシードのつぶし具合を調整したり。数年かけてようやく完成したのが、この「桐島畑の熟成マスタード」です。
原材料から育て、その特長を生かした商品をつくれるのは、農家だからこそ。これからも、こうした加工品づくりを続けていきたい、と話してくれました。
スタッフと桐島畑の熟成マスタード
ドレッシングやソースに使ったり、じゃがいもにのっけたり、自宅でも使う機会が多いマスタード。いろいろなマスタードを試したのですが、酸味が強すぎたり、甘みが強く料理に合わせづらかったり……これだ! というものになかなか出会えずにいました。
そんなある日、桐島さんからご紹介いただいたのが「熟成マスタード」。
まずはそのままひとくち。マスタードの風味がふわっと広がり、酸味も甘味もバランスがよい。素直においしい、と感じました。素焼きした大根にのせて食べてみると、マスタードの程よい辛みが大根の甘さを引き出し、パクパクと食べきってしまいました。
その後、桐島さんから商品ができるまでのお話を伺い、主原料であるからし菜の品種を選ぶところからはじめたこと、そして素材に合わせて他の調味料を選び、試作を続けたことを知りました。
だからこんなにおいしいのか、と納得。そして「できるだけ地域のものを使いたいと素材を選んでつくったんです、ほどよく食感を残すために粒のつぶし加減も調整しています」と自分の手でつくることを楽しんでいる桐島さんの姿がとても印象的でした。
マスタードを使うときにふと、桐島さんのおだやかな笑顔が浮かんできて、こちらも楽しい気持ちで料理をしています。
●いまむら(おいしいもの担当)