ゆっくりうまみを蓄えた、ひらきなめこ
奈良県最南端、十津川村の〈上湯川きのこ生産組合〉さんから、うまみたっぷりのなめこが届きました。
かさがひらくまで育ててから収穫するから「ひらきなめこ」。時間をかけているぶん、味が乗り、うまみが増しています。大ぶりなので食べ応えもばっちり。
お鍋料理や汁ものはもちろん、炒めもの、おひたし、なめこ蕎麦、唐揚げにするのもおすすめです。
少なくても、時間がかかっても、美味しさを届けたい
菌床栽培のなめこは、おがくずと、栄養となるふすま(小麦の表皮部分)などを入れたビンやポットになめこの菌を入れ、栽培します。多くの栽培施設では、回転数をあげるため、一度収穫すると、その菌床は廃棄されています。
しかし、上湯川きのこ生産組合さんでは、一度収穫したあと、あえて次のなめこ(2番なめこといいます)が生えるのを待ち、ひらきなめことして栽培しています。最初のなめこと比べ、2番なめこのときは、菌床のなかの栄養が減った状態。生える数も少なくなりますが、なめこそのものの力で、ゆっくりと、力強く育つのです。
少量でも、美味しいものを。そのために、ただでさえ時間のかかる2番なめこを、さらにかさがひらくまで熟させ、しっかり味が乗ってから収穫します。
温度、湿度の管理を厳密に行う栽培施設が一般的ななか、ここでは自然の力も大切にしています。ときには窓をあけて外の空気にあて、水やりも少なめに。「厳しい環境」で育てることは、味わいが増す秘訣のひとつです。
つくり手のこと
上湯川きのこ生産組合さんのある十津川村は、日本で最も大きな村です。面積の96%が山林に覆われた、山深い土地。過疎化がすすみ、産業も多くありません。
「きのこを買いたいと訪ねてくる人が、途中であきらめて帰るようなところ」代表の西竜一さんがそう笑ってはなすこの場所で、上湯川きのこ生産組合さんは、地域の雇用創出をめざし、40年ほど前に創業しました。現在では、若手から80代まで、20人あまりのスタッフが働いています。
地域とのつながりや、資源を無駄にしないことも大事にしています。
役目を終えた菌床は、地元や、おとなり和歌山県の農家さんへ。肥料として活用されます。坂ノ途中とお付き合いのある梅農家さんの畑でも、上湯川きのこ生産組合さんの菌床が使われているんですよ。
ひらきなめこの栽培を、西さんは「育ってくれるのを、私たちは待っているだけ」といいます。でも本当は、外気を入れたり、水を控えめにしたりしているぶん、様子をきちんと見ることが大切。こまめに丹念に、世話を行います。
収穫は1本1本手で。深い味わいをそのまま保つために水洗いをせず出荷するので、検品も念入りに。スタッフのみなさんの丁寧な仕事ぶりがあってこそ、お届けできる美味しさです。
ひらきなめこのおいしいレシピ
旨みと食感が楽しめる唐揚げにしました。衣はさくっ、なかのなめこはとろり。新しい組み合わせです。
大根おろしを添えて、さっぱりといただくのがおすすめですよ。
なめこのとろみで、つるつるといくらでも食べられます。
大根おろしでボリュームもアップ!納豆やオクラなどをトッピングしても美味しいですよ。
ほかにも、なめこのレシピをこちらでご紹介しています。
試してみてくださいね。