1年前、実家の畑にごまの種を蒔きました。
種苗店でたまたま目にしたのがきっかけです。坂ノ途中はウガンダでごまをつくっていたけれど、どんなふうにできるのか、少し興味もありました。
種の入っている袋には、栽培は簡単と書いてあって、これはそのとおりでした。とりあえず種を蒔いて、育てるというか、ほったらかし。それでもしっかり大きくなってくれます。
問題はそのあとです。収穫してから。食用のごまになるまでの道のりがとにかく大変です。

手順はこんな感じ。
1.ごまの種が入っている莢が裂けはじめた頃に株を刈り取り、乾燥させます。
2.大きな袋か、シートを広げて、その上でごまの株を逆さにして振ると、莢からごまが落ちてきます。それを集めます。
3.これでおしまいならいいんですが、集めたものってごまだけではなくて、土埃や枯れた葉っぱやゴミや、いろいろなものが入っていて、それを取り除かなければいけません。この選別作業がものすごく大変です。目の細かな篩いにかけたり、トレイに広げて小さなゴミを手で摘まみ取ったり、ふーっと息を吹きかけて埃を飛ばしたり、とにかく地道な作業を延々とつづけます。
4.最後に水洗いをして土埃を落とし、乾燥。ここでやっと生ごまの完成です。フライパンで炒れば、炒りごまになります。

ネットで調べていると、「もう二度とやらない」とか「とにかく大変」という言葉だらけです。僕の音楽仲間の友だちも、「昔やってみたけど、一度で嫌になった」と言っていました。
僕も、もういいかなと思っていたのですが、気になる記事を見つけてしまいました。
「唐箕(とうみ)を使うといい」
風の力を利用して、重いものと軽いものを選別できる──風選(ふうせん)といいます──機械です。昔は脱穀したあとの米や麦の稲の葉や藁くずを取り除くために使われていたもの。風の力で、重い籾は下に落とし、軽い藁くずやゴミを吹き飛ばすしくみ。
そして、誰の持ち物か知らないけれど、この唐箕がなぜかやまのあいだファームに置いてあるのです。これが借りられれば……。
ごま、今年もやってみようかなという気持ちになっています。えごまもついでに。
育てるのは簡単だし。

●まつい

*やまのあいだファームだより
今はちょうど夏野菜の植え付け、種蒔きの準備をしています。今年は、ナス、オクラ、ツルムラサキ、モロッコインゲンを予定しています。順調にいけば、6月のおわりくらいからナス、7月のはじめにはオクラの出荷がはじまります。どうぞお楽しみに。