坂ノ途中の考えていること

坂ノ途中がやりたいこと。

農薬のこと、肥料のこと。

肥料に頼って※1野菜を育てると、野菜は弱くなりがちです。
他の生物との競争に勝てなくなってしまうのです。そこで農薬を使用し、他の生物を排除します※2
そうすると、野菜に栄養分を供給してくれる微生物たちもいなくなり、
土はカチカチになっていきます(そんな土を、「痩せた土」と呼びます)。
そのため、即効性のある化学肥料に頼ることになります。
だけど化学肥料に頼って野菜を育てると、また弱い野菜が育って…
実は今、多くの圃場で、こんな悪循環が生まれています※3
悪循環の中で、少しずつ土は痩せ続け、
私たちの暮らしは農薬や化学肥料への依存度を高めているのです※4

未来からの前借りを、やめたい。

未来からの前借りを、やめたい。 農薬や化学肥料に頼る農業では、
「今」の収穫量は増えるけれど、100年後の豊作は期待できないのではないでしょうか。
つまり、「今」、楽に収穫できるのは、「未来からの前借り」をしているだけなのではないでしょうか?

私たちは、「未来からの前借り」をやめたいのです※5

未来からの前借りをやめるためには、農薬・化学肥料に頼らず、
土づくりを主体とした農業を展開できる農家が増えなければなりません。
腕利きの特別な農家だけが農業で経済的に自立できる、ではだめなのです。
まじめに努力し、研鑽をつめば、「農薬・化学肥料に頼らない農業」が職業として成立する。
そうやって大切に育てられた農作物を多くの人が味わい、その価値を理解し、
生産者の努力が報われる。
そんな社会を実現したいと考えています。

そのために、何ができるだろう?

実は今、私たちと同じような問題意識をもって、
「農薬・化学肥料に頼らない農業」を志す人が増えています。
だけれども、そのうち多くの人が、就農をあきらめてしまいます。
既に農業を始めている先輩を訪問し、先輩農家の実情を知って、
「こんなにきつくて、報われない仕事は自分にはムリだ」
と思ってしまうのが、大きな理由となっているのです。

中には、それでも自分はやりぬくんだ!と強い決意と共に就農する人もいますが、
多くの人は続かずに辞めてしまいます。
一番の理由は、「販路が見つからないこと」。
生産量が少量で不安定になりがちな若手農家・新規就農者は、
野菜を流通させる企業からすると、「付き合いにくい相手」と映ってしまうのです。
地域社会も疲弊しているので、
地域社会に買い支えてもらって農業で生計を立てる、というのもなかなかうまくいきません。

だけど、彼らの野菜はとても美味しい。

必死で情報収集して、試行錯誤して、
時には周囲から「ムリだムリだ」といわれながら、
「それでも自分は農業がやりたい!」と一歩を踏み出した人たちですから。
すごくまっすぐに、丁寧に、野菜を作っています。

生産量が少量でも、不安定でも、
販売していける仕組みをつくることで、この美味しい野菜をみんなに知ってもらおう!
そんなことを考えて、
レストラン向けに提携農家さんの野菜販売を始めたのが2009年の夏。
どうにかこうにか、多くの人に支えられて、
ゆっくりと販路が広がってきています。

その先に、何があるだろう?

このような取り組みを通じて※6、 今、奮闘する若手農家や新規就農者が、
アルバイトをやめても生計が立てられるようになれば。
子どもができても、必要に応じた教育費をかけられるようになれば。
たまには休んで、街中でデートして、自分の野菜を使っているレストランでディナーして、
「ここの野菜つくってるの?かっこいー!」なんてなれば。

畑を見学に来た人に、「儲からないからやめた方がいいですよー。」と言うのではなく、
「頑張れば報われるし、応援してくれる人もたくさんいて、楽しいですよ!」
と言えるようになるんじゃないでしょうか。

そうしたら、
きっともっと、農薬や化学肥料に頼らない農業を実践する人は増えていく。
そうして、少しずつ未来からの前借りをやめていけるんじゃないだろうか。
そんな未来を夢見ています。
※1「肥料に頼って…」 
肥料の主成分は窒素。窒素過多の圃場では、植物における「アミノ酸」や「アミノ酸アミド」の含有量が増加しやすくなり、それを好む菌や虫を招き、病虫害の原因となります。また、炭水化物がアンモニアとの反応に取られるため、植物の細胞壁が薄くなり、外部からの刺激に弱くなると考えられています(これは窒素過多の野菜が腐りやすい理由にもなります)。

※2「…他の生物を排除します」 
農薬は、「薬」とついていますが、殺菌剤、殺虫剤、除草剤というように、菌や虫や植物を殺す作用を持っています。

※3「…悪循環が生まれています」 
実は肥料の過剰投入がもたらす環境へのダメージはこれだけではありません。化学肥料製造時や輸送時のCO2排出や、河川に流れ出た肥料分による河川を富栄養化(赤潮等を引き起こします)、硝酸態窒素による地下水の汚染等が指摘されています。

※4「…依存度を高めているのです」 
化学肥料の原料となるリン鉱石は日本ではほとんどとれません。石油よりも先に枯渇するという指摘もあります。主な対日輸出国である中国が禁輸措置を発動した場合、日本の農業は大きなダメ―ジを被ると考えられます。同じくカリ鉱石もカナダなどからの輸入に頼っています。

※5「未来からの前借り」 
私たちが主張する、「未来からの前借り、やめましょう」というメッセージは、「持続可能な暮らしを選択しましょう」という意味とほぼ同じです。「持続可能性」はもともと、時間的公平性や地理的公平性を重視する概念です。「持続可能な暮らしを…」よりも分かりやすく、心に残る表現として、また、何気ない私たちの暮らしが、将来に負担を押し付けてしまっているのだという自戒もこめて、「未来からの前借り、やめましょう」というフレーズを使っています。

※6「このような取り組みを通じて」 
上記のような問題が解決するのであれば、別にそれは私たちの手によるものでなくても構わないと考えています。ですので、講演等にお声掛け頂いた際には、私たちの事業展開のエッセンスを包み隠さずお話ししていますし、視察に来られた方には、できるだけ役立ててもらえるようノウハウを提供しています。価値観を共有してもらえるなら、コラボしたい、同じモデルで展開したい、そんなご連絡いつでも歓迎しています。

事例紹介

販路いろいろ

農薬/化学肥料を用いない農業を志す方でも、好みのスタイルは様々。
レストランに向けた珍しい品種に力を入れたい、規模を拡大して研修生の研鑽の場にしたい、
自然農法にチャレンジしたい、自家採種にこだわりたい、などなど。
坂ノ途中では、多様な販路を維持しておくことで、多様な営農スタイルを肯定したいと考えています。
「こんなスタイルじゃないと、ウチは取引しませんよー」じゃ、ちょっとさびしいですもんね。
「農業を持続可能なものにしよう!」という価値観を共有できていれば、
その表現方法は違っていても、協力し合って、少しでも前に進みたいと思っているのです。
そんなわけで、坂ノ途中では輸出やネット通販から加工用卸まで手掛けています。

【Webshop】有機野菜の通販・宅配 坂ノ途中ウェブショップ
【直営店】坂ノ途中soil
【小売店様・飲食店様への卸販売】取り扱ってくださっている飲食店様