新ショウガの甘酢漬けの作り方、あるいは比較レシピ分析の実例

2017.11.19 | category: まかない・レシピ | tag:

こんにちは。坂ノ途中でエンジニアをしている片山です。
最近はおうちでお寿司を握る方も増えているようですね(要出典)。

とはいえ、ガリ・ショウガの甘酢漬けを自分で漬けている方はまだ少ないようです。
この新ショウガの旬の機会に自分でガリを漬けて一歩先に行ってみませんか?

今回は、レシピを調べるにあたりいろいろ寄り道と試行錯誤を書いているので、最終的なレシピに興味がある方はページ下部までぐるーっと一気にスクロールしていただければ幸いです。

まず、新ショウガについて、ふつうの人がイメージするいわゆる表面が黄土色になっているショウガは、ひねショウガ、あるいは土ショウガという、収穫したしょうがを冷暗所(高知では壕と呼ぶ洞窟を利用しています)などで保存したものです。新ショウガは、白くて、葉が出る部分のピンク色が鮮やかでかわいいものです。やわらかくて辛さも抑え気味。

さて、新ショウガの旬はいつでしょうか。

今回の新ショウガの甘酢漬けをつくるにあたり図書館でいろいろとレシピ本を読み比べてみたのですが、15年以上前の本では秋、10-11月ごろと記述してあるのに対し、最近の本では初夏と記述されていることに気づきます。

これは、特に産地である高知で、加温しての促成栽培をして出回る時期が早まったからのようです。この結果、市場に出回るのは早くなりました。
しかしふつうに育てた場合は秋です。技術の広がりで旬が変わったと受け止められるのはすこし面白いです。ただ、化石燃料を燃やしての加温の環境負荷は知っておく必要があると考えています。

レシピの分析

前置きが長くなりましたが新ショウガの甘酢漬けをようやくつくっていきます。

新ショウガの甘酢漬けは、簡単な料理です。
1.ショウガをスライスする
2.スライスしたショウガを甘酢に漬ける
以上。

と、思っていたのですが、いろいろ調べてみると人によって全然違うことがわかりました。

まず、ショウガのスライスも、2mmくらいがいいという人もいれば、できるだけ薄いほうがいい、という人もいます。
切ってから水にさらすもあれば茹でるものもあってなにもしないものもある。
茹でるなかでも茹でて熱いうちに甘酢に漬けるのもあれば、塩をして冷ましてからがよいとするもの。なかには、茹でて冷水で冷ましてから、再び甘酢で2-4分煮立たせるものもあります。

甘酢の調合だってさまざま。
基本的には酢と砂糖。調べた15レシピのなかで10は塩を入れている。
なかには、甘酢の20%をみりんが占めるものまであります。

煮切りみりんをいれるものや醤油を少しいれるもの、酒を入れるものある。ほか、昆布だしをいれたり。水の量もだいぶん違います。
なかでも特徴的なのは、砂糖ではなくメープルシロップを総量の28%ほどいれる有元葉子さんのレシピ([2])。
また、すしの技術大全では、玉水といって、お酒を水で10倍に薄めたものを、煮立つ直前にいれるというテクニックもあります([3])。

酢の量だって大きく違います。
平均45%だけれど、手づくり食品の会さんの74.3%から、CookPadのれおいちさんによる21%のものまで。

酢については、指定していないものが大半ですが、醸造酢を使うといいというものが目立ります。特に好みがなければ米酢でよいでしょう。
有元葉子さんのレシピでは、文中では指定していないものの写真に村山造酢さんの千鳥酢が写っていました。自分もちょっと気合をいれるときのすし酢はこれを元につくっています。
スーパーなどで市販されていて手に入りやすいものの中では値段が高めだけれど美味しいと感じます。

参考までに各レシピの体積比率をグラフにしてみました。

(敬称略、クックパッドの数字はつくれぽ数)
砂糖は1gを1.7mlとして換算しています。

この傾向は、著者が西か東かで変わるのではないかとにらんだけれど、調べてみた限りではそんな傾向はなさそう。

さて、ここでいくつかの先人たちの知見が集まったので、これをもとに
試行錯誤していきます。

ほんとはいろんな組み合わせを実験できるとよかったのだけれど、手間と時間の都合で簡単に・・・

つくりかた

0.保存
低温と乾燥に弱く、冷蔵庫にいれると悪くなりやすいのでご注意ください。
すぐに調理すること推奨ですが、そうでない場合は新聞紙にくるんで常温においておくとよいでしょう。
1週間くらいはもつし、悪くなってもその部分をこそげとれば使えなくはないです。

1.薄さ
洗って皮をむきます。薄いのでピーラーではなくわりばしなどでこそげとってもよいです。剥いた皮はショウガの香りがいいので炒め物などに使うと便利。

スライサーで2mm、1.5mm、0.8mmを試してみたところ、薄いほうが食感はよい。
分厚いとショウガの辛さが残る気がする・・・。

しょうがでは繊維が先端方向に向いていますが、これと直角にすぎると、かんだ時にしゃくっとほぐれてしまいあまりよくないと感じています。かといって、平行に切ると長い繊維が残るのでなんとなく斜めがいいのではないか、と思っていますがここは議論がわかれるところでしょう。
なかには、スライサーよりも包丁のほうがきれいに切れる説があるので自信のある方は試してみてください。
スライサーは、厚さを替えられるものが便利ですが指を切らないようご注意ください。

2.塩
塩はしたほうがよい、気がする・・・と5人のうち3人ほどの意見。
内田悟さんの本では、塩で繊維がほぐれ味が染みやすくなるとのことだけれど、すこしよくわからなかった[4]

3.茹でるかどうか、茹でるなら茹で時間は
茹でたほうが味が染みやすい、辛さがマイルドになる気がします。
ただし、2分茹でたのと4分茹でたのはあまり違いが判りませんでした。
茹ですぎると成分は落ちそう。ゆで汁はほのかにしょうがの香りがしたので炊き込みご飯や汁物にするとよいかもしれません。

4.甘酢
これはお好みで・・・。
自分の好みでは、酢40%、砂糖30%、水20%、みりん10%、塩0.5%という感じです。
砂糖が多いほうが、うまい・・・。。

ひたひたになる分量。ショウガが200gなら200mlつくるでよいでしょう。

比較している様子

5.漬け時間
30分という人もいれば3日という人も。
1日漬けるとだいぶ変わるので味を比べてみるとおもしろいです。これはつくったひとの特権ですね。

3日漬けても10日たっても漬けすぎた感はないので漬けたあとのことは気にしなくてもよいでしょう。

レシピによっては、1月持つ・1年持つとあります。
長期保存するつもりであれば、瓶は煮沸消毒して密閉するようにしてください。

補足
・すしの技術大全では、ひねショウガを材料としています。そして、スライスしたショウガを茹でて、また甘酢で2-4分煮立てています。こうするとひねショウガでも辛さが落ちるのかもしれません。
・一般に市販されているしょうがを、根の部分と思う人もいますが、これは茎が肥大化したものです。

新ショウガは坂ノ途中WebShopで販売中。11月いっぱいはありそうなのでマイガリ作りたい方はお早めに!
新ショウガ -坂ノ途中 WebShop

余談

ただ、まだ試行錯誤できていないのでこんど新ショウガが予想以上に豊作とかあれば試してみます。
また情報を更新していきます。

そういえばガリの由来について。
新ショウガの甘酢漬けのことを、ガリと呼びます。
衣食住語源辞典によれば、生姜を食べる際のガリガリという、かじり切る擬音による命名とのことですが、こういう口伝で広がりやすい食文化の言葉は追いにくいですね。

小学館の日本国語大辞典によれば、がりで、一番後ろ・しんがりのこと、との記述があることをヒントに、後退する部隊の一番後ろを守る殿(しんがり)が転じたのではないか、という説を思いついたのですがいかがでしょうか。

実際に、すしの技術大全では一番最後に載っているレシピだし・・・

終わりが雑でしたがまたみなさまのガリ・寿司情報お待ちしております。

ショウガについてはこの記事もご参考にどうぞ。

今週のレシピ:サトイモとショウガの炊き込みご飯
タグ : ショウガ 坂ノ途中の日報

#新ショウガ #生姜 #しょうが #ガリ #がり

参考文献

[1]2013, 辰巳芳子, 仕込みもの, 文化出版局

辰巳芳子さんによる「仕込みもの」。1986年に出版された本を再構成したもの。レシピだけではなく考え方も参考になります。

[2]2011, 有元葉子, うちのおつけもの, 文化出版局


丁寧なレシピ写真もきれい。
漬け物の基本もあまり知らなかったのでとても勉強になります。

[3]2013, 目黒秀信, すしの技術大全, 誠文堂新光社

2016年に買った本で一番高い本。だけれど詳細な情報も多く、はじめてみる魚を握るときに置いておくと参考になる。

[4]2012, 内田悟, 内田悟のやさい塾 旬野菜の調理技のすべて 保存版 春夏, メディアファクトリー

築地御厨の内田さんによる本。料理だけでなく野菜のこともいろいろ書いてあって楽しい。

著者について

ガリとあわせて寿司を撮るべく釣りに行ったものの小さい魚しか釣れなかった著者近影。

(撮影は釣り初心者の自分にいろいろ教えてくれた ミネムラ珈琲さん)

ただ、クロメバルとこぶりのフエダイはめちゃめちゃ美味しかったです。
また野菜と魚のレシピを共有していきます。野菜や釣りに興味のあるWebエンジニア絶賛募集中です。

12/7には東京でこんなイベントもやるのでご興味ある方はぜひお越しください!
農・食の Career Hack Meetup vol. 1 エンジニア編



坂ノ途中だより 1/24~1/30

2016.01.24 | category: まかない・レシピ | tag:

こんにちは、広報くらたです。
さ、寒いですね。。東京の都心でも、先週積もった雪が珍しく1週間近く経っても溶け残っていましたが、そこにまた寒波…!まさしく冬将軍です。「冬将軍」という言葉は、ナポレオン軍が、1812年、遠征先のロシアの猛烈な寒さに負け撤退したことから生まれた言葉なのだそうです。ロシアを守ったこの厳しい冬を、イギリスの新聞が「将軍」とたとえたそう。ロシアのマイナス10度20度という寒さからすれば東京の冬は「将軍」には程遠いのでしょうが、でも、寒い。。             
今週は、そんな寒さ厳しい季節の味方!ショウガをピックアップします。深い香りと辛味がたまりません!レシピは、冷えた体を芯からほっこりあたためてくれるスープです。とってもおいしいショウガを出荷してくださっている農家さん、高知県本山町のさとうベジファーム 佐藤さんご夫妻もご紹介します!     

***ショウガ***
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ショウガは、熱帯アジア~東南アジアあたりが原産とされるショウガ科の野菜です。紀元前3-5世紀ごろにはインドや中国で食用・医薬用として使用されていました。日本に渡ってきたのは2-3世紀ごろのこと。薬味に、料理の下味に、酢漬けやお菓子、飲み物にと、私たちの食生活に欠かせない存在ですね。
ショウガには様々な効能がありますが、生と、加熱・乾燥させたものでは成分が変化し逆の力を発揮します。生では血行を促進し、体内の熱を下げる効果が、加熱すると胃腸の壁を刺激し体内の温度を上げる効果があります。風邪の引きはじめには生のショウガ、冷え対策にはショウガ湯やショウガチップス、お鍋、ご飯と一緒に炊き込んだりが◎です。成分は皮付近に集中しているので、ぜひ皮ごと使ってくださいね。
ショウガの農家さんが作るジンジャーシロップもおすすめ!
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ショウガときび砂糖だけで作られた、ピリっとした香りと甘さのバランスが抜群のシロップです。お湯割りやソーダ割り、ショウガ紅茶にするととってもおいしいですよ。

*ショウガとジンジャーシロップは、お野菜セットに追加でご注文いただけます!*
Mail:[email protected] Tel: 075-200-9773 までご連絡ください。
●ショウガ:100g/袋:325円(税別)
●さとうベジファームさんのジンジャーシロップ
大(250cc):850円(税別)、小(50cc):350円(税別)

**千切りショウガ、ネギと焼き梅干しのスープ** 
ヨヨギのはらだが考えました!
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1、白ネギ(長ネギ)2本(200g)を斜め切りに、ショウガ40gを皮ごと千切りにする。
2、鍋に生しぼりごま油少々を熱し、①と塩ひとつまみを加え、弱火でじっくり蒸らし炒め。
3、2に充分火が通ったら、昆布だし400mlを加えて煮込む。
4、梅干しをちぎり、フライパンで焦げ目がつくまで弱火で焼く。
5、3に2を加え、醤油とみりんで味を調えたらできあがり!ちぎった海苔も合いますよ◎
●はらだのこぼれ話●
ショウガに含まれるジンゲロールという成分(ショウガの辛味成分)は、火を通すことでショウガオールという体を温める成分に代わります。ジンゲロールは皮付近に多く含まれているので、今回は皮をむかないレシピにしました。

***農家さん紹介 さとうベジファーム 佐藤健二さん、晶さん***
ショウガを届けてくださっている、高知県本山町のさとうベジファームさん。健二さんと晶さんの夫婦二人三脚の農場です。健二さんは、東京の電機メーカーで15年勤めたのち、自然に近い仕事を志し高知の有機農業の学校へ。2007年に就農されました。晶さんはブータンやタイなどでの農業関係の仕事や、日本の種苗会社での仕事を経て、2007年に高知へ。健二さんの育てた野菜を使った加工品を主に担当されています。ご紹介したジンジャーシロップは、晶さんがひとり奮闘して作っていらっしゃいます!
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畑のある本山町は、四国のちょうど真ん中あたりに位置します。写真のように山に囲まれ水も空気もきれいな、晶さん曰く、「ブータンみたいなところ」です。畑の周りの刈り草や、地元で作られた米ぬかなどを発酵させた肥料を用いる、地域資源を生かす土づくりに取り組まれています。ショウガは、4月に植付け、10月に収穫。味が乗るよう、霜が降りる直前まで土の中で待って、ギリギリのタイミングを見計らって掘り上げているそうです。大切に育てられたショウガは、香りも風味も豊か。自然の恵みと、佐藤さんご夫妻の想いが詰まっています。お子さんも一緒にお手伝いしているそうですよ!
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それでは、また来週!



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